- 2021.01.12 | 就活コラム
- コロナ禍における税理士業界の動向と転職事情
コロナ禍によって、現在の職場や仕事に対する不満が浮き彫りになり、頭を悩ませる人は少なくないでしょう。
とはいえ先行きも不安で、予定していた転職やキャリアアップの延期を考える人もいるのではないでしょうか。
今回は、コロナ禍における税理士業界の動向と転職事情を紹介します。
理想とする税理士キャリアの実現に、少しでも参考になれば幸いです。
CONTENTS
目次
1.コロナ禍における税理士業界の現状
コロナ禍によって、税理士業界も他と同様、従来の仕事のやり方だけでは通用しなくなりました。
税理士業界への影響として、
・顧問先の倒産などによる取引数の減少
・各種給付金や助成金など新制度への対応加重
・さらに加速するIT化
などがあげられます。
帝国データバンクの発表によれば、新型コロナウイルス関連の倒産は全国で875件、法的整理は770件、事業停止が105件と、急速な景気の悪化が見られます。(2021年1月11日時点)
また、新たな業務として、新型コロナウイルスで大きな影響を受けた事業者へ各種給付金や助成金のサポートなどの対応も求められています。
→参照:経済産業省の支援策案内
→参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構の支援策案内
急激な変化に見舞われる中、残念ながら、持続化給付金申請にて不正受給を指南していた疑いで元税理士が逮捕された事件など、税理士としての正義を問われるショッキングな問題も発生しました。
この事件を受け、日本税理士会連合会では『従来にも増して各税理士に対して研修や広報等を通じて、改めて法令遵守の徹底と適正な業務遂行を強く要請』するとの会長コメントを発表しています。
さらに、以前から取り組みが始まっているIT(ICT/AI)化は、コロナ禍でよりスピーディーに進んでいます。
これまでオフィスや事務所などでしか行われていなかった作業のテレワークが推奨され、オンライン面談の導入など、業態も変わっているのです。
→参照:https://www.nichizeiren.or.jp/whats-new/200415b/
このように、コロナ禍によって税理士業界も大きな変革を余儀なくされています。
混乱の中でも一人一人が「税理士としてどうあるべきか」を見失うことなく、時代のニーズに合わせたサービスや強みを武器に、来たる新時代への舵を切るべき時がきているのです。
次章では、コロナ禍における税理士の転職についての考察や、最新動向を紹介します。
※関連記事:
・『税理士業界の現状と今後-最新動向と就職転職事情を解説-』
・『多様化する税理士の働き方~アフターコロナで求められるものとは~』
2.コロナとリーマンショックの税理士転職動向を比較【最新】
近年の経済的な大打撃といえば、リーマンショック(2008年にアメリカの大手投資銀行、リーマン・ブラザーズの経営破綻によって発生した世界規模の金融危機)です。
企業の倒産件数の多さや派遣切りなどの類似点はありますが、リーマンショックと現在のコロナ禍では状況が全く違います。
リーマンショックでは金融業界や富裕層を中心に大打撃を受けましたが、税理士業界においては、大手監査法人や大手税理士法人のリストラや人材流出はあったものの、大きな被害を受けずに済んだ法人も多かったです。
一方新型コロナウイルスでは、前出の通り税理士業界をはじめ、顧問先の企業や一般消費者の巻き込みに留まらず、全世界で193万人(1月11日時点)もの死者を出すほどの大ダメージを与えています。
感染収束のめどは立っておらず、あらゆる産業が不況に陥り、総務省では「2020年11月の完全失業率は2.9%と前月比0.2ポイントの改善を見せているものの、底を打ったとはいえない」と分析しています。
また、厚生労働省による『事務局説明資料』では、リーマン後のピーク時の有効求人倍率が0.42倍(2009年7月)に対し、コロナ禍における有効求人倍率は1.03倍(2020年9月)と発表されました。
現時点で最新の『一般職業紹介状況(令和2年11月分)について』では、 10月に1.04倍、11月に1.06倍と、上回りが確認できます。
ただし、完全失業率と同様、ポイントの上昇だけで単純に雇用が回復傾向にあるとは言い切れません。
未だにコロナの感染拡大は続き、より感染力が強いとされる変異種も出現しています。
コロナでは今も尚、リーマンショック以上の多大な影響を、全世界に及ぼし続けているのです。
今後の情勢も不透明で油断ならない状況が続く中、税理士の転職はどのように進めていくべきなのでしょうか。
3.税理士業界の転職事情
コロナ禍における税理士の転職では、新体制に対する柔軟性や顧客の経済発展を実現する求心力など、これまでより一層、幅広い領域対応と質の高い価値提供を可能とする人材が求められています。
税理士業界の転職事情で注目すべきは、企業と求職者の動きです。
【企業】
以前にも増して即戦力を求める傾向にあり、スキルや経験値などの募集条件を見直すほか、オンラインを活用した採用活動で面接機会を増やし、直接対面まで行う候補者を厳選しています。
書類選考も厳正に行い、教えを待つ保守的な層よりも自らでキャリアを切り開くポテンシャルを秘めた人材の採用に乗り出しています。
【求職者】
コロナ禍でどうしても安心や安定を求める傾向にあります。
量より質の高さや幅広さが問われる現代で、自身の理想をどこまで実現できるのか、キャリア設計と環境選びは慎重にならざるを得ないといえるでしょう。
とはいえ、ご時世以前に、「資格さえあれば」という時代はとうに過ぎ去っています。
社会的なニーズと自身が創造できる価値は何なのかを考え、いかに粉骨砕身の思いで行動するかが重要といえるでしょう。
社会に対し税理士が尽力すべき指針として、10月23日に日本税理士会連合会会長が菅首相を表敬訪問した際に、以下の3点が伝えられました。
→参照:https://www.nichizeiren.or.jp/whats-new/201030a/
①デジタル社会への全面的な賛同
②持続化給付金等の支援政策の更なる推進
③中小企業に力を入れた全国の経済発展への尽力
景気低迷が長引くほど、企業の弱体化は進みます。
IT化の促進に加え、情勢に則した対応力、顧客企業の救済を視野に入れた節税や経営コンサル、事業継承など、専門的なコンサルティングの需要はますます拡大していくことでしょう。
この傾向は、上を目指す税理士にとってチャンスでもあります。
コロナ禍でキャリアアップを躊躇している税理士も多いからこそ、自身の市場価値を高め、理想とするキャリアを実現させてほしいと思います。
4.まとめ
今回は、コロナ禍における税理士業界の動向と転職事情について紹介しました。
■コロナ禍における税理士業界の現状
・顧問先の倒産などによる取引数の減少
・各種給付金や助成金など新制度への対応加重
・さらに加速するIT化
■コロナとリーマンショックの税理士転職動向を比較【最新】
・及ぼす影響には大きく差があり被害規模や状況は全く異なる
・完全失業率と有効求人倍率の経過は現時点では類似している
■税理士業界の転職事情
・税理士は複雑化する社会ニーズへの適応と高付加価値の創造が求められている
・転職事情は企業と求職者の動向と合わせ、日本税理士会連合会の発表にも着目
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