1.未来を予測
ひかり税理士法人は、おかげさまで設立20周年を迎えることができました。これもひとえに、皆様のご支援の賜物と感謝しております。次の30周年に向けたビジョンを考えるにあたっても、未来を予測することは重要なことです。そこで、野村総研、生活総研など様々な機関が未来年表を公表していますので、気になるテーマを下図の通り整理してみました。
1)人口問題
少子高齢化は確実に進み、2050年の人口は約1億人まで減少します。生産年齢人口が減少するなか、介護従事者の需要は高まり続けます。2040年には、平均寿命は男性が約83歳、女性は約90歳に伸びると予測されています。年金、介護にかかる財政負担は益々増大しますので、年金開始年齢の引き上げ、介護サービスを受けるための受益者負担が増加するのは避けられない状況です。
2)相続対策としてのアパート建設
2023年には総世帯数がピークとなり減少局面を迎えます。さらに、75歳以上の独居は増え、相続後の空き家件数も増加の一途をたどることが予測されています。一方、相続対策によるアパート建設が増えていることも問題となっています。今後は、相続対策としてのアパート建設について、事業性の良し悪しを慎重に検討し投資判断をする必要がありそうです。
3)自動運転など自動車の進化
2023年には空飛ぶクルマの実用化、2025年には高速道路での自家用車の完全自動運転(レベル4)が始まります。まさにSF映画(バック・トゥ・ザ・フューチャー)の世界が現実のものとなりつつあります。2035年には乗用車新車販売における電動車比率は100%となるようですが、個人的にはエネルギー問題の観点からも、水素自動車に寄せる期待が大きいです。
4)IT技術の進歩
コロナ禍によって在宅ワークや多様な働き方が普及し、業務を効率的に管理するために、AI機能を導入する企業が増加しています。また、政府が推進するDXの観点からも、AIに寄せられる期待は大きく、労働力不足の解消、生産性向上のカギといえます。今後、市場規模は益々増大し伸びていくことが予想されますので、中小企業にとっても、競争力の観点からも戦略的にIT投資を検討し付加価値向上を目指していく必要があります。
未来への挑戦
私たち会計業界も、未来予測を冷静に分析し、時代の変化に対応していかなければなりません。記帳代行等の単純作業はRPA、OCR、AI等のIT技術を駆使し業務の自動化を徹底していく一方で、経営課題解決型の高付加価値サービスこそが、会計事務所の存在意義となります。お客様に必要とされるサービス開発を怠らず、経営者伴走支援型の会計事務所を目指しながら、激動する未来へ果敢に挑戦していきたいと思っております。
【文責】ひかり税理士法人 谷
2.月60時間超の時間外労働に関する割増賃金の引上げについて
はじめに
「月60時間を超える法定時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」
これは、大企業については2010年4月からすでに適用されていたルールですが、いよいよ中小企業においても2023年4月1日から適用されることになります。今回は、この制度の概要と実務上の対応についてご紹介いたします。
制度概要
労働基準法の改正により月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率がこれまでの25%から50%に変更されます。また、それに伴って引き上げ分の割増賃金の代わりに有給休暇を付与する制度(代替休暇制度)を設けることも出来ます。
図表1
(出典:厚生労働省)
1.割増賃金率の変更について
時間外労働時間数の基本的な考え方や今回の制度変更による影響について見ていきましょう。
①「月60時間」のカウント方法
時間外労働時間数を給与計算期間の初日からカウントし、60時間を超えた分について50%の割増率で支払います。ただし、法定休日労働はこれに含まれません。なお、60時間を超えた時間外労働が深夜帯である場合は75%の割増率となります。(時間外割増率50%+深夜割増率25%)
具体的には図表2をご覧ください。この例では1日~23日で60時間に到達し、24日~27日、29日~31日が60時間超え分となります。
図表2(月末締め、法定休日が日曜日の例)
(出典:厚生労働省)
②改正による具体的な影響
今回の変更で最も懸念されるのが残業代の増加ではないでしょうか。
どれくらいの差が生じるのか、図表3のように確認できます。
図表3(月所定160時間、月給24万円、月80時間の法定時間外労働の場合)
2. 代替休暇制度について
今回の変更にあたり、労使協定を結ぶことによって、引き上げ分の割増賃金の代わりに有給休暇を付与する制度を導入する事が可能です。導入にあたり注意すべきポイントをご紹介いたします。
①どの部分が代替休暇の対象となるのか
休暇に代替できるのは60時間を超え、かつ割増賃金率1.25を超える部分で、それ以外については割増賃金として支払う必要があります。(図表4)
図表4
(出典:厚生労働省)
②代替休暇の算定方法
代替休暇は「(1か月の法定時間外労働時間-60時間)×換算率=代替休暇時間」「換算率=代替休暇を取得しなかった場合の割増賃金率-代替休暇を取得した場合の割増賃金率」という計算式で算出します。代替休暇を取得しなかった場合の割増賃金率が1.25、1か月の法定時間外労働が80時間の場合、(80-60)×(1.5-1.25)=5時間となります。
③代替休暇を付与する際の注意点
代替休暇は1日または半日の単位で与える必要がありますが、端数時間が生じた場合は、割増賃金として支払うか、時間単位の年次有給休暇等と合わせて取得するかのいずれかを選択できます。
図表5(1日の所定労働時間が8時間で代替休暇の時間数が10時間の例)
(出典:厚生労働省)
また代替休暇は、時間外労働が60時間を超えた月の締め日翌日から2か月以内に与える必要があります。期間が1か月を超える場合は1か月目の代替休暇と2か月目の代替休暇を合算して取得することも可能となっています。(図表6)
図表6(1日の所定労働時間が8時間の例)
(出典:厚生労働省)
④代替休暇の取得日と割増賃金の支払日
月60時間を超える法定時間外労働について、割増賃金で支払いを受けるか代替休暇として取得するか、いずれの場合にも対応できるよう労使協定にて代替休暇取得日の決定方法についてや、割増賃金支払い日を定めておく必要があります。
4月までに必要な対応
ここまで制度概要とその注意点についてご紹介してきました。
それらを踏まえた上で4月までに必要な対応を順に見ていきましょう。
1.現状の把握
まずは実際に月60時間を超える法定時間外労働を行っている労働者がいるのか、あるいは超える可能性があるのかどうか整理しましょう。
そのうえで割増賃金の支払いのみとするか代替休暇取得制度も併用するかを決定する必要があります。
2.就業規則の改定
月60時間を超える法定時間外労働について、割増率を50%にする旨の定めが必要です。
また、代替休暇制度を設ける場合はその定めが必要になります。
3.労使協定
代替休暇制度を設ける場合は、代替休暇算出や労働者への通知、休暇取得日の特定といった一連の流れについて定めが必要です。
①代替休暇の時間数の具体的な算定方法
②代替休暇の単位
③代替休暇を与える事ができる期間
④代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
終わりに
今回の改正は、月60時間超の法定時間外労働に対して割増賃金率が変更になることや代替休暇制度を設けるか否かという点が企業にとって最も大きなポイントになりますが、同時に働き方改革の中心とも言える残業時間削減は労働者の健康問題にも繋がる長時間労働の是正を目的としています。法改正の本来の趣旨である「長時間労働そのものを削減する」ための継続的な取り組みが今まで以上に求められていると言ってもよいのではないでしょうか。
【文責】ひかり社会保険労務士法人 宮田
3.情報セキュリティ10大脅威 2023
先日、IPA(情報処理推進機構)より、「情報セキュリティ10大脅威 2023」が公開されました。
「情報セキュリティ10大脅威 2023」は、2022年に発生した社会的な影響が大きかったと考えられる情報セキュリティにおける事案から、IPAが脅威候補を選出し、情報セキュリティ分野の研究者、企業の実務担当者など約200名のメンバーからなる「10大脅威選考会」が脅威候補に対して審議・投票を行い、決定したものとされています。
個人向けと組織向けにランキング付けされており、多少の順位の変動はあるものの、TOP5はどちらも前年と同じ内容となりました。
誰しもがサイバー攻撃のターゲットとされる、場合によっては知らないうちにサイバー攻撃に加担してしまう可能性もある時代ですので、「自分は大丈夫」「よくわからないから」と敬遠せず、日頃から意識し、できる対策をしておくことが大切です。
今回は、「情報セキュリティ10大脅威 2023」で1位にあげられている「フィッシング」と「ランサムウェア」について、用語の説明と対策方法をまとめたいと思いますので、サイバー攻撃への対策のきっかけとしていただければ幸いです。
1.フィッシングによる個人情報等の搾取(個人1位)
フィッシングとは、実在する企業や組織からのように見える偽の電子メールやSMSを使って偽サイトへ誘導し、アカウント情報を入力させて盗み取り、本人になりすまして不正利用する行為です。
偽の電子メールやSMS、Webサイトは本物そっくりに作られ、見分けがつかないくらい巧妙化してきていて、フィッシング対策協議会への報告件数も2021年が約53万件(前年比2.3倍)、2022年が約97万件(前年比1.8倍)と近年急増しています。
筆者にも、宅配業者やクレジットカード会社を装った電子メール・SMSがよく届きますので本当に注意が必要です。
フィッシングへの対策としては、以下があげられます。
①電子メール・SMSへの警戒
個人情報やクレジットカード番号等の入力を促す内容の場合は、問題がないか一呼吸置いて確認するようにしましょう。
また、電子メールやSMSに記載されているリンク先には不用意にアクセスしないようにしてください。
送信元のメールアドレスやリンクのURLが公式のものと相違ないか、必ず確認するようにしましょう。
②ID・パスワードの管理
複数のサービスで同じID・パスワードを使いまわしていると、情報を窃取された場合に不正利用の被害が広がるリスクが高くなります。
面倒ではありますが、被害を限定的にするためにもID・パスワードの使いまわしはせず、サービスごとにどのような情報が登録されているかを把握しておくようにしましょう。
③多要素認証の利用
多要素認証とは「知識情報」、「所持情報」、「生体情報」のうち、2つ以上を組み合わせて認証することをいい、不正ログインの予防として有効とされています。
知識情報であるパスワードと、携帯電話(所持情報)、指紋(生体情報)等を併せて認証を行います。
現在では多くのサービスが取り入れていますので、一度ご確認いただき、ぜひ利用するようにしましょう。
④ウイルス対策ソフトの導入
ウイルス感染によって情報が窃取される可能もあるため、対策ソフトを導入し、定義ファイルを常に最新の状態に保つようにしましょう。
⑤その他
よく閲覧するWebサイトはブラウザのお気に入りに登録しておき、そこからアクセスするようにしましょう。
検索結果や他サイト、メール等に記載されているリンクURLは、よく似たフィッシングサイトに誘導される場合があります。
クレジットカードなどの利用明細を日常的に確認するようにしましょう。被害に合った場合の早期発見につながります。
疑わしいWebサイトに情報を入力してしまった場合には、入力情報に該当するクレジットカード会社や銀行等に速やかに連絡し、警察にも相談してください。
2.ランサムウェアによる被害(組織1位)
ランサムウェアとは、「身代金(Ransom)」と「ソフトウェア(Software)」を組み合わせた造語で、身代金要求型ウイルスとも呼ばれています。
攻撃者がコンピュータやネットワーク上のデータを暗号化して使えない状態にし、解除するために身代金を要求することが特徴です。
昨年、大阪の医療センターが被害に遭い大きなニュースとなりましたので、耳にされた方も多いのではないでしょうか。
従来は電子メールからの感染が一般的でしたが、最近ではネットワーク機器の脆弱性を突く手口が多くなってきています。
先述の大阪の医療センターもそのケースで、委託業者のネットワークの脆弱性を突いて侵入され、ネットワーク接続する医療センターにも感染が広がりました。
ランサムウェアへの対策としては、以下があげられます。
①電子メールへの警戒
問題ないと思えるメールであっても必ず送信元を確認し、不用意に添付ファイルやリンク先を開かないようにすることが大切です。
拡張子が「.exe」や「.zip」の添付ファイルは特に危険です。
②ウイルス対策ソフトの導入
ウイルスに感染するリスクを低減するのに有効です。
ウイルス対策ソフトを導入し、定義ファイルを常に最新の状態に保つようにしましょう。
③ソフトウェアの最新化
コンピュータやモバイルデバイス、ネットワーク機器等に脆弱性を残さないためにソフトウェアをアップデートし、常に最新の状態を保つようにしましょう。
④データバックアップ
感染した場合に備えて、定期的にデータのバックアップを取っておくことも重要です。ネットワークから切り離して保管しておくとなお良いです。
また、バックアップからの復旧方法も事前に確認しておく必要があります。
近年では当たり前のように見聞きするフィッシングとランサムウェアについて取り上げましたが、いずれのサイバー攻撃に対しても基本的な対策は似たようなものとなります。
記載した対策をしていれば100%防げるということにはなりませんが、日常から意識することで軽減できるリスクは少なくありません。
冒頭にも書きましたが、被害者にも加害者にもされる可能性がありますので、自分は大丈夫と他人事にせず、できることから対策してみましょう。
IPAのサイトにて、「情報セキュリティ10大脅威 2023」に対する解説書、セキュリティ対策の基本と共通対策、簡易説明資料(スライド形式)、簡易説明資料(脅威個別版)が順次公開される予定となっておりますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
《出典》
IPA(情報処理推進機構) https://www.ipa.go.jp/security/vuln/10threats2023.html
フィッシング対策協議会 https://www.antiphishing.jp/
【文責】ひかり税理士法人 村田
4.顧問先紹介『合同会社 おふくろ様』
今回は京都市右京区の人気居酒屋「居酒屋おふくろ」をご紹介します。
京都の野菜や地元の名産品を活かした料理を提供されています。
お客さんとの距離が近く、地域の方の憩いの場となっています。
ご近所の太秦東映京都撮影所にも仕出し弁当を販売されています。
大変好評で、クランクアップ時、撮影期間中のお弁当の上位3店舗に選ばれました!
是非一度、訪れてみてください。
合同会社 おふくろ
◆店名:京野菜居酒屋おふくろ
◆住所:京都府 京都市 右京区太秦桂ヶ原町15 バンガードイン太秦1階
◆営業時間:17:00〜24:00
◆アクセス:JR太秦駅 徒歩12分 嵐電帷子ノ辻、太秦広隆寺駅 徒歩8分
◆ご予約リンク:https://tol-app.jp/s/ofukuro
◆TEL:075-406-1718
【文責】ひかり税理士法人 島﨑