1.行政書士法人も東京事務所を開設
ひかりアドバイザーグループ傘下の各士業法人が東京で事業を展開しつつある中、遅ればせながら行政書士法人も5月から東京事務所を開設しました。
当面は税理士法人の東京事務所に併設という形を取りますが、関係各位のご支援のもとに首尾良く業務をすすめることができるよう精進したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
HACCPに沿った衛生管理
去る6月1日から、食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)にHACCPに沿った衛生管理の実施が義務付けられました。小規模な飲食店などでも対応が必要ですが、業界団体が作成した「手引書」を参考にしながら対応することで衛生管理基準を順守しているとみなされます。
コロナ禍における時短営業や休業要請などで苦境にある事業者に対して更に負担を求めることになり、タイミングの悪さに閉口せざるを得ませんが、HACCPの制度化は食品衛生法上の義務となってしまったため、避けることはできません。
とはいえ、行政も当面の間は営業許可の更新時や保健所の定期的な立ち入り等の機会に、導入の支援・助言などを行っていくことになると思われますので、行政書士の立場からも食品等事業者のみなさまを応援できればと思っています。
(注)HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。 |
建設キャリアアップシステム
建設キャリアアップシステムとは、官民が連携して開発したシステムで、技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組みとなっており、技能者・事業者それぞれ登録が可能となっています。
2019年4月から本格的に運用が開始されていますが、2020年12月末時点で44万人を超える技能者、8万社を超える事業者が登録されています。
建設キャリアアップシステムでは、登録された一人ひとりの技能者にIDが付与されたICカードが交付され、そのICカードが本人を証明する機能を担うことになります。その上で、いつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのか、日々の就業実績として電子的に記録・蓄積されることとなっています。
建設キャリアアップシステム登録のメリットとしては次のように考えます。
① 事業者からは技能者(従業員)の就業状況が容易に確認でき、現場の入場管理などが効率化されます。
② 技能者にとっては、自身の資格や職歴を証明できるため、働く現場にかかわらず適正な評価と待遇を受けることができます。
③ 官民が連携して推進しているシステムなので、今後、経営事項審査や入札参加資格申請、建設業許可の確認資料や加点項目になるものと思われます。
④ 在留資格「特定技能」で外国人労働者を雇用とする場合、雇用する建設会社についてはシステムへの登録が要件となっています。
⑤ 現在、政府からゼネコンに対し、下請への建設キャリアアップシステムへの登録を推奨するように通知がでているため、今後ゼネコンからの工事を下請け業者が受注する際に、システムへの登録を要件とするゼネコンも出てくるものと思われます。
⑥ すでに入札参加の際に、システムへの登録を加点要素とする自治体があります。
このようにシステムへの登録の有無は、公共工事の入札や民間工事の受注などにも影響が出ると思われますので、早めの登録をお勧めします。
(注)建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System, 略称CCUS)とは、建設業に関わる技能者の資格・社会保険加入状況・現場の就業履歴などを登録・蓄積し、技能者の適正な評価や建設事業者の業務負担軽減に役立てるための仕組みのことで、国土交通省が推進しています。 |
【文責】ひかり行政書士法人 中川
2.企業情報開示の方向性について
我が国の上場企業における情報開示のひとつである有価証券報告書において、コーポレート・ガバナンス等に関する開示の充実を図る施策が進められています。また、投資家が期待する情報開示の要請に対応するため、自主的に統合報告書等も利用し、ESG(環境・社会・ガバナンス)といった非財務情報の提供など、積極的な情報開示を行う動きがあります。その中で、日本公認会計士協会に設置された企業情報開示・ガバナンス検討特別委員会(以下「特別委員会」という)において、企業情報開示の有用性と信頼性の向上に向けた課題の抽出と対応の方向性について整理されましたので、概要を抜粋してご紹介します。
現状の情報開示について
我が国において、制度開示・自主開示を含む多種多様な開示媒体が存在します。制度開示の年次報告書としては、金融商品取引法に基づく有価証券報告書、会社法に基づく事業報告及び計算書類が存在します。また、継続的なコーポレート・ガバナンス情報の開示媒体として、取引所規則に基づくコーポレート・ガバナンスに関する報告書が存在します。
また、制度開示書類とは別に、企業が自主的な開示媒体を公表する実務が広がっています。株主・投資家を想定利用者とする実務のほか、従業員などの他のステークホルダーも想定利用者に含める実務も多くみられます。
こうした自主的な開示実務として、特に我が国において特徴的なのは、統合報告書、統合レポート、コーポレートレポート等の名称で、自主的な年次報告書を公表する実務が広がっていることが挙げられます。統合報告書に代表される自主開示実務の発展により、企業独自の価値創造ストーリーをビジョン、ビジネスモデル及び戦略等を中心に創意工夫を凝らして説明する取り組みが、多くの企業で実践される状況につながっています。
情報開示に関する問題意識
特別委員会では、制度開示と自主開示にまたがって多くの開示書類が存在する状況に着目し、以下のような問題意識が示されています。
■ 上記のような自主開示実務の発展による成果が認められる一方で、多様な開示媒体が存在する状況について、開示媒体間の関連性及び全体の体系が明確でない実務が多い。
■ 情報利用者の立場から見て、企業価値の全体像を俯瞰できる簡潔な報告が存在しないことや、企業が自主開示に力を入れる一方で、自主開示には開示規則や作成責任など、制度開示に比べてその信頼性を担保する基盤が十分でない。
■ 社外取締役の立場から見ると、多くの開示媒体が存在する場合、株主・投資家に対する主たる報告書類が明確でなく、コーポレートガバナンス・コードにおいて求められる情報開示に対する取締役の役割の発揮が曖昧になるとの指摘あり。
■ 監査人の立場からは、有価証券報告書と他の媒体における開示が整合的でない場合や、自主開示書類で重要性の高い情報として記述されている情報が有価証券報告書上で開示されていない場合の判断について懸念する指摘あり。
今後の方向性の提案
特別委員会からは、今後の方向性として以下の提案が示されました。
■ 企業情報開示制度の目的に鑑みれば、情報利用者である投資家がその限られた時間の中で、企業価値の全体像を効率的かつ効果的に把握できることが重要であること。
■ 投資家向けの制度開示書類が、企業価値の全体像を俯瞰しつつ詳細な情報を効率的に入手できるものになるとともに、その中で情報の重複や重大な欠落がなく、投資家の投資判断に当たり重要な情報が漏れなく開示される必要があること。
■ 有価証券報告書の記述情報の充実に向けた各種施策により、制度開示書類における非財務情報の量・質の両面での改善につながることが期待されること。
■ 記述情報の充実に向けた取り組みを更に前に進め、自主開示における優良な事例を制度開示の実務に反映することを通じて、制度開示を中心に置いた開示書類の体系を情報利用者のニーズに適合した形で構築していく方向性が考えられること。
■ これらの観点から、制度上の年次報告書と自主的な開示書類の関係性を明確にするとともに、相互整合性を高めていくことが重要であること。
今後、このような開示に向けた提案が制度として実現することが期待されますが、同時に公認会計士による監査領域も投資家のニーズによって大きく変化することが想定され、これに柔軟に対応していくことが求められます。
【文責】 ひかり監査法人 岩永
3.IT導入補助金を活用した経理改善
コロナ禍により、業務の非対面化・非接触化が浸透し、選好される世の中になったのはご承知の通りです。しかし、すぐに業務をシフトするにはコストの問題など課題が山積みかと思われます。今号では、特に経理業務に絞って、補助金を活用し低コストでITツールを導入できる方法をご紹介します。
IT導入補助金とは
この補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の課題を解決し、業務改善や売上向上を目指す目的でITツールを導入する際に費用の一部が支援されるものです。2020年以前からも実施されていた補助金事業ですが、コロナ禍で業務の非対面化にシフトしつつ労働生産性向上を図る企業向けに補助率を引き上げた制度も設けられました。(概要やスケジュールは前号をご参照ください。)
対象経費の一例
対象となる費用は以下の通りです。
表1. 対象のソフトウェア
表2. その他対象となる費用
※表1のソフトウェアと表2のようなソフトウェア以外の費用を組合わせて申請できます
※表2の費用のみでの申請は対象外です
クラウド会計とは?
煩雑になりがちなバックオフィス業務では、日々効率化を検討し実践されていることと思います。改善を何から始めるか困っておられる方もいらっしゃるでしょう。その悩みを解決する手段の一つがクラウド会計です。
【メリット】
・会計の自動化
・データが消えない
・場所を問わず業務を行うことができる
・法改正への自動対応
・リアルタイムに経営状況を把握できる etc…
【デメリット】
・ランニングコストがかかる
・自動化のための日々のメンテナンスが必要
・操作の慣れが必要 etc…
導入の流れ・コツ
基本的な導入の流れは以下の通りです。
1. アカウント登録・会社情報の設定
2. 預金・クレジットカード等の連動
※ネットバンキング等ネット上で明細が見られるものに限る
3. 自動化ルールの設定
2.で連携した預金の動きと仕訳を紐づけ
4. 現金勘定の入力方法の検討
クラウド上で行う、出納帳を用意する等
5. 売掛金・買掛金勘定の計上方法の検討
★ 失敗しない導入のポイント ★
①可能な限り預金等を連動して手間を減らす ②最初から細かい設定をしない ③クラウド会計の特長を理解する ④いきなり全てをクラウドへ移行しない |
一見便利に思えるクラウド会計。張り切って取り組んだのに失敗してしまった・・・なんてことにならないためには「あそび」をもたせ、ゆとりあるスケジュールで、自社に合った会計を構築することが重要です。
まとめ
以上、IT導入補助金を活用したクラウド会計の導入についてご紹介しました。「導入したいけど何をすればいいの?」「取り組む時間がない」という方は一度ご相談ください。補助金を活用した低コストな導入支援に加え、御社に合った会計を構築いたします。弊社の支援も補助対象となっており、多数の導入実績もございますので、きっとご満足いただけるはずです。少しでも気になられた方は、お気軽にお問い合わせください!
お問い合わせ先
ひかり戦略会計 株式会社 〒604-0872 京都府京都市中京区東洞院通竹屋町下る ひかりビル TEL:075-330-6058 / FAX:075-330-6059 |
【文責】ひかり戦略会計株式会社 中田
4.「どうしよう?」にお答えします!Q&Aコーナー
Q. 2023年10月1日から消費税の「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が はじまりますが、事前に行うべきことはありますか?
A.登録制となっており、登録事業者になろうとする事業者の方は、2021年10月1日から2023年3月31日までに登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。また、免税事業者は2023年10月1日の属する会計期間中に登録を受けた場合、登録を受けた日から消費税の課税事業者となります。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されると、登録事業者のみが買手側で消費税の仕入税額控除の対象となる適格請求書(インボイス)を発行することができるようになります。2023年10月1日からインボイスを発行するためには、2021年10月1日から2023年3月31日までに「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、インボイスに記入する登録番号を入手しておく必要があります。
なお、消費税の免税事業者はインボイスを発行することができません。インボイスを発行するためには消費税の課税事業者となる必要があります。消費税の課税事業者となるには、原則として消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があります。しかしながら、経過措置としてインボイスの登録申請書を提出し、2023年10月1日の属する会計期間中に登録を受けることとなった場合は、消費税課税事業者選択届出書を提出することなく、登録を受けた日から消費税の課税事業者となります。
インボイス制度は多くの事業者に影響を与えると想定される制度です。制度について詳しく知りたい方は、お気軽にお問合せください。
【文責】ひかり税理士法人 丸岡
5.チョットお邪魔します。人気のお店訪問
今回ご紹介するのは、1948年創業で食品用包装資材や家庭用品などを九州北部産の杉を使って生産・販売されている【合同会社いなかず商店様】です。
2018年より開発、2020年より販売開始されたぬか漬け用杉箱の「SUGIDOCO」は、長年、杉と向き合い蓄積してきた知識で杉の木の力を最大限発揮させることにより、ぬか漬けの大きなネックであり失敗の最大の原因であった水抜きの手間を解消できる人気の商品です。
また、同じ福岡県の株式会社渡辺農産様とのコラボ商品「SUGIDOCOはと麦ぬかスターターセット」は、今までぬか漬けのにおいが苦手だった方でも、美味しくぬか漬けが楽しめます。
詳しくはお店のWebサイトをご覧ください。
合同会社 いなかず商店
◆〒834-0114
福岡県八女郡広川町大字太田1229-1
◆営業時間:9:00~17:00
◆定休日:土曜・日曜・祝日
◆URL: http://go-inakazu.com/
◆TEL: 0943-22-8750