1.18年度京都府包括外部監査で活用賞を受賞しました!
18年度の京都府包括外部監査では、毎年5億円を超える公的補助を受けながら、経営危機に瀕している「北近畿タンゴ鉄道株式会社」にスポットをあて、その危機の原因を探るとともに将来に向けた経営の改善策について積極的な提言をとりまとめ、去る3月末日に山田京都府知事に報告書を提出しました。
このたび、その報告書が市民オンブズマンから評価され、活用賞を受賞しました。受賞の理由は、次のとおりです。
第三セクター鉄道である北近畿タンゴ鉄道の赤字経営の実態を調査し、交通インフラとしての存在意義を認めながら公的補助とのバランスの中で同鉄道の将来を見据えようというものである。同社の経営上の問題点を網羅的に抽出し、車両、施設・設備、乗務員、駅務員の現状まで踏み込んで改善案を提示している。監査人が結語で述べているように、この報告はこの鉄道を残すための可能な限りの手だてを示そうというものであり、監査人の強い関心と熱意が溢れたものとなっている。その熱意が185頁という大部の報告書となり、その内容も監査の域を超えた事業再生計画提案書となっている。監査人の並々ならぬ熱意の成果と他の三セク鉄道への参考に供する価値を認め、活用賞を贈る。
受賞理由にもある通り、報告書は185頁にも及ぶボリュームとなっていますが、京都府のホームページから以下の方法でダウンロード可能ですので、ご興味ご関心のある方は是非ご一読ください。
京都府のホームページを検索し、監査委員のページにアクセスして「平成18年度京都府包括外部監査結果」をダウンロードします。PDF形式の文書として提供されます。
緊張感のある経営を!
この報告書の中で強調したのは、「緊張感のある経営」というフレーズです。社長自らが不退転の決意で臨まなければ、坂を転げ落ちだした経営を立て直すことなど容易ではありません。期限を設けた再建計画とそれが達成できなかった場合の責任の所在を明確にし、さらには週8日の覚悟で経営努力を傾注しなければ事業の再生など画餅に過ぎません。
これは第三セクター会社だけでなく、民間の場合も全く同様です。最近も、自他共に優良会社と目されていた会社が、あっという間に破綻に近い状態に追い込まれる事例に遭遇しましたが、そこで見たものは「緊張感の欠如した経営」と「失敗しても責任を取らない経営者の姿」そのものでした。
一国の総理ですら、無責任な政権放棄をするのですから、中小企業のオヤジさんに多くを求めるのは酷かも知れません。しかし、中小企業だからこそ、緊張感のある経営に邁進しなければ、明日がないことを肝に銘ずるべきだと思います。
2.国税庁『平成19年分路線価』を公表!
昨年に引き続き2年連続上昇
8月1日、平成19年分の路線価が国税庁から発表されました。これによると標準宅地の平均路線価は3大都市圏(下表路線価変動率の推移参照)で2年連続上昇しており、昨年まで下落が続いていた地方圏でも横ばい (変動率0.0%)、全国平均では1㎡あたり126,000円、前年比8.6%の上昇を記録しました。
公表された路線価は、平成19年中に相続や贈与で取得した土地の評価に反映されます。したがって、その上昇は相続税や贈与税の課税価額、ひいては税額に直接影響を及ぼすことになりますので、おおいに気になるところです。そこで、今回はこの路線価について解説してみたいと思います。
路線価とは何か
路線価とは、その名の通り路線(道路)に面した土地の価格で、具体的には主要道路に面した1㎡あたりの土地の価格を示しています。この路線価は、毎年1月1日を評価時点として、売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額や精通者意見価格などをベースとして算出されています。また路線価は、公示価格の80%程度を目安に定められており、これは土地の価額には相当の値幅があることや、相続税や贈与税の税額を計算する上で、路線価は1年間通して適用されるため、その間の値動きも配慮したものとされています。
なお、都市部の市街地では、ほとんどの道路について路線価が付されており、これを基に土地の評価額を計算しますが(路線価方式)、路線価の付されていない地域の宅地については固定資産税評価額に一定の倍率を乗ずることで評価額を計算します(倍率方式)。
1. 首都圏では大幅上昇
路線価が最も高かった場所は、例年話題に上がる東京都中央区銀座五丁目の銀座中央通り(鳩居堂前)で、22年連続で全国のトップとなりました。この路線価は7年連続で上昇しており、1㎡あたり2,496万円。この最高路線価は過去のピーク時であった平成5年の路線価3,650万円の68.4%まで回復したことになります。
全国一の上昇率を記録したのは、大阪市北区角田町の御堂筋 (40.3%)で、最高路線価の上昇率が20%を超える都市が9都市(大阪、横浜、名古屋、東京、仙台、福岡、京都、札幌、神戸)あり、中でも東京、大阪、名古屋、横浜、仙台の5都市は30%を超える上昇率となりました。
また、昨年の上昇率が20%を超えていた地域は東京と名古屋だけであったことから、一部地域に限定されていた地価の上昇が、全国的に広がりつつあるといえます。
2. 地方圏は横ばい
全国の標準宅地の平均路線価は1㎡あたり126,000円で、昨年より8.6%の上昇となりました。14年ぶりに上昇へ転じた昨年の0.9%と比較すると、今年はかなり大幅な上昇であったといえます。
また、右に示した路線価変動率の推移からも3大都市圏では2年連続の上昇、地方圏についても下げ止まりとなったことがうかがえます。
3.10月から雇用保険法が変わります!
近年の雇用情勢と法改正
完全失業率が概ね5%台で推移していた平成13年~15年頃に比べ、今では企業業績の回復と2007年問題が重なることで雇用環境は大幅に改善し、今年7月には完全失業率も3.6%(季節調整値)にまで回復しました。その結果、雇用保険制度の収支状況も改善し、今年4月には雇用保険料率が引き下げられましたが、これに続き10月1日には改正雇用保険法が施行されます。
本稿では、改正雇用保険法のうち、(1)基本手当を受給するための要件、(2)育児休業給付額の引き上げ、(3)教育訓練給付額の引き下げ、の3点について解説します。
1. 基本手当を受給するための要件
これまでの週所定労働時間による被保険者区分(短時間労働者以外の一般被保険者/短時間労働被保険者)がなくなり、雇用保険の基本手当の受給資格要件が一本化されます。ポイントは、必要な被保険者期間及び賃金支払基礎日数が統一されることです。
自己都合による退職で基本手当をもらうための要件を満たすには12ヶ月勤務することが求められるようになります。つまり現行制度の2倍の勤務期間が必要になるのです。これにより、6ヶ月以上12ヶ月未満という比較的勤務期間の短い被保険者の退職については、今後基本手当を受給できない可能性が高まることとなります。
2. 育児休業給付額の引き上げ
育児休業期間中に支給される基本給付金に変更はありませんが、育児休業から職場復帰後6か月経過した場合に支給される職場復帰給付金の給付率が上がります。これによりトータルで休業前賃金の50%を受給できるようになります(平成19年3月31日以降に職場復帰された方から平成22年3月31日までに育児休業を開始された方が対象)。
職場復帰給付金は、職場復帰後6ヶ月を経過した日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日までに申請する必要があります。職場復帰と給付金申請時期にずれがあるため申請漏れが発生しやすくなっています。改正後は、給付額が増えるのでさらなる注意が必要です。
3. 教育訓練給付額の引き下げ
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定している教育訓練を受講・修了した場合に、現行では支払った金額の20%又は40%が支給されます。
被保険者期間が5年以上の方については、支給割合が、教育訓練受講のために支払った金額の40%(上限20万円)から20%(上限10万円)へと大幅な引き下げになるので注意が必要です。
教育訓練給付金に合わせた社内の教育訓練支援制度を設けている企業は、今回の改正に合わせた内容への変更が求められるでしょう。
今回の改正はこれだけにとどまりません。詳細については、ひかりアドバイザーグループのスタッフまでお気軽にご相談ください。
4.任意後見制度の概要
今回は、前回に引き続き成年後見制度、とりわけ昨今注目を集めている「任意後見制度」について説明します。
任意後見制度とは
認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分になると、不動産や預貯金などの財産を管理したり、遺産分割の協議をしたりするのが困難になります。また、身の回りの世話のために介護などのサービスを受ける契約や施設への入所に関する契約を結んだりすることにも支障をきたします。さらに、判断能力が不十分なために、よく分からないまま自分に不利益な契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうリスクも高くなります。
任意後見制度はこのような判断能力が不十分な人を支援・保護する制度で、本人の判断能力が十分なあいだに、将来自己の判断能力が不十分になった場合に備えて、本人をサポートする任意後見人をあらかじめ公正証書によって定めておくものです。
分かりやすくいうと、「今は元気でなんでも自分で決められるけれど、将来は認知症になってしまうかも…」という不安を感じている方が、将来を見越して事前に公証人役場で任意後見契約を結んでおき、「ひょっとして、認知症かなぁ」と思った時に家庭裁判所に申し立てをして任意後見監督人の選任をしてもらうという制度です(任意後見監督人は本人が選んだ任意後見人がきちんと仕事をしているかチェックします)。
なお、任意後見契約においては、任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を委任するかについて話し合いで自由に決めることができます。
任意後見制度の手続の流れ
- まず、信頼できる人(司法書士、弁護士等の専門家、家族、友人)と任意後見契約を締結します。
- 次に、少し痴呆の症状がみられるようになったら、家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申し立てをし、家庭裁判所が選任した任意後見監督人が任意後見人の仕事をチェックします。
- そして、任意後見人が任意後見契約で定められた仕事(財産の管理や療養看護など)を行います。
任意後見の必要書類
任意後見を申し立てるにあたっての必要書類は以下の通りです。
・本人の戸籍謄本、住民票
・任意後見受任者の住民票
・本人、任意後見受任者の印鑑
・その他、診断書、財産目録等
(注)本人や任意後見受任者が公証人と面識がない場合には、印鑑証明書、運転免許証など、身分を証明するものが必要です。
任意後見制度に関する費用
任意後見制度を利用するにあたって当座必要となる費用は以下の通りです。
・公正証書作成基本手数料 11,000円
・登記嘱託手数料 1,400円
・登記所に納付する印紙代 4,000円
この他にも当事者に交付する正本等の証書代や登記嘱託書郵送代が必要ですが、詳しくは公証人役場に聞いてみるのがよいでしょう。なお、任意後見人への報酬は、契約書の中に記載しておきます。任意後見監督人への報酬は家庭裁判所が決定します。
任意後見人の権限
- 本人の代理人として、任意委任契約で付与された範囲の代理権を持っています。
- 法定後見人と異なり、本人が行なった契約に対する取消権はありません。
- 医療行為に関する同意権・拒否権はありません。
- 本人の死亡によって任意後見契約は終了するため、死後の事務処理を委任することはできません。
詳しい手続についてはお気軽にHAGグループのスタッフまでお問い合わせください。