1.ビットコインとは
仮想の通貨です。仮想通貨とはいえ、もちろんお金です。円やドルのように単位があり、1BTC(ビットコイン)と表記されます。500円玉のように、目に見えるコインが存在しない無形のお金です。
2.法的に定義付けされた仮想通貨(ビットコイン)
仮想通貨とは、簡単に言うとインターネットを通じて物品を購入する際に、対価の支払として利用されるものと説明できますが、近年においてはビットコインのことを指すことが多いでしょう。
資金決済法においては、「物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」又は「不特定の者を相手方として相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」と定義されています。
3.ビットコインを取り巻く税制
平成29年度税制改正大綱において、事業者(交換業者)が行う仮想通貨の譲渡について、消費税が非課税となりました。資金決済法の改正により、仮想通貨が改めて法的な支払手段の1つとして定義づけられたことに伴い、今回消費税法においても改正が行われました。平成29年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて摘要が開始されます。
4.消費税法においてもビットコインは「支払手段」と改めて定義付け
ビットコインは通常の通貨やプリペイドカード等と似ているものの、これまでは仮想通貨の定義がなかったため、単に価値を有するものとして消費税の課税対象とされていました。
しかし,平成28年6月に公布された資金決済に関する法律(資金決済法)により,仮想通貨も紙幣等と同じ「支払手段」として法的に位置付けられました。これを受け、消費税法上にいても、仮想通貨は銀行券等と同様「支払手段」と位置づけられることとなりました。
5.ビットコイン非課税の移行期を利用した脱税?!
現在ビットコインは税込価格のレートで取引されていることから、改正後は税抜価格(非課税)のレートで取引されることが想定されます。
つまり、平成29年6月30日に仮想通貨を購入すれば消費税の課税仕入れに該当し、これを翌日平成29年7月1日以後に譲渡すれば、非課税売上げとなります。
更に、個別対応方式により仕入税額控除を計算している場合には、課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに該当することになります。
これを上手く利用すると、買ったときに支払った消費税は申告の際に差し引くことができ、売ったときには消費税がかからないので申告の際に収めなくてもよいことになります。
つまり、6月30日に税込1,080万円の仮想通貨を購入し、翌日7月1日に同額の1,080万円で売却した場合、購入したときの消費税80万円が還付されることになります。
6.ビットコインによる脱税防止のために(経過措置)
このようなことを防止するため、平成29年6月30日に税抜100万円以上の仮想通貨を保有する場合には、次の経過措置が設けられています。
①平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の一日あたり平均保有量が、平成29年6月30日の保有量よりも少ない場合:平均保有量<6月末保有量
⇒平均保有量より多い部分の消費税については、仕入税額控除の適用は受けられない
②平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の一日あたり平均保有量が、平成29年6月30日の保有量よりも多い場合:平均保有量>6月末保有量
⇒平成29年6月30日までに購入した仮想通貨は、全て仕入税額控除の対象となる
今後ますますの普及が考えられるビットコイン。新たな信用のカタチとして注目を集めています。
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