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スタッフコラム

2017.09.11|税制改正

積立投信向けNISAの創設で、若年層の長期的な資産形成を応援!

平成26年1月から開始されたNISAの口座開設数は平成28年6月末で1,000万口座を超え、買付金額も約8.3兆円となるなど、NISA制度が始まって以降、着実に普及してきました。

ただし、現行のNISAの積立による利用は実に1割以下で、不向きであると言われています。少額からの積立・分散投資を利用しやすくし、家計の安定的な資産形成を支援する観点から、新たに積立NISAが創設されました。

1.積立型投資信託には不向きな現行のNISA制度

まず、現行のNISA制度とはどのような制度でしょうか。

現行のNISA制度を簡単にまとめた下の表を確認してみてください。

非課税対象 上場株式等、公募株式投資の配当及び譲渡益

投資可能期間

10年間(2014年~2023年)

非課税期間

最長5年間

各年の非課税枠

120万円
※2014年~2015年は100万円
※ロールオーバー可能

累積非課税投資額

600万円

 

上の表のとおり、各年の非課税枠は2016年(平成28年)以降120万円となり、非課税期間は最長5年間と設定されています。よって、累積非課税投資額は600万円となりますが、仮に毎月2万円を積立型投資信託に投資している場合では、年間に投資する金額は24万円に留まります。

 

将来の年金原資など資産形成のために積み立てても、非課税期間は5年間で、ロールオーバー(次の年の非課税枠に保有している商品を移行すること)をしても2023年の最終の非課税枠で5年間運用し、2027年末をもって非課税期間が終了してまします。

 

それ以降は課税口座に移行され、投資信託の分配金は課税されることとなるため、若年層の方が毎月少額の積立型投資信託を利用して資産形成をしようとしても、NISAによる非課税制度を活用しきれないということが、現行のNISAのデメリットとなっています。

 

さらに、非稼働のNISA口座(一度も買付けが行われていない口座)が全体の50%以上となっているため、少額からの積立投資自体が十分に浸透していない現実もあります。
 

 

何が違う? 積立NISAと現行NISA

それでは、平成29年度税制改正で新たに創設された積立NISAとは、どのような制度でしょうか。
積立NISA制度を簡単にまとめてみました。

 

非課税対象

長期の積立・分散投資に適した一定の公募等株式投資信託の配当及び譲渡益
※信託契約期間20年以上
※非毎月分配型ファンド など
※デリバティブ取引への投資は原則不可

投資可能期間

20年間(2018年~2037年)

非課税期間

最長20年間

各年の非課税枠

40万円
※定期、定額投資に限定

累積非課税投資額

800万円

 

現行のNISAと比較して、積立NIASは非課税期間が最長20年間、投資可能期間も2018年から2037年の20年間と、期間が長くなりました。一方で、各年の非課税枠は現行NISAより80万円減額されて40万円となりましたが、20年間の累積非課税投資額は800万円となるため、積立NIASの方が現行NISAより200万円も増額しています。

 

毎月コツコツ積立・分散投資を行いたい方や、長期的な視点で投資を行いたい方にはピッタリな制度となりました。ただし、積立NIASの非課税対象となる金融商品は、信託契約期間が20年以上のものなどに限定され、毎月分配型の投資信託は対象外となっているため、積立NISAを前提に投資を考える際には、投資したい金融商品が積立NISAの対象になっているかどうか確認する必要があります。

 

なお、現行のNISAと同様に、非課税期間に売却し売却損失が出た場合、税金の計算上売却損失がなかったものとみなされ、その他の上場株式等の売却益と損益通算はできません。

2.相性抜群のiDeCoとの組み合わせで投資枠拡大

NISAと同じく、投資の運用益が非課税になるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、NISAとの相性が抜群です。

 

iDeCoは各種の税制優遇によって有利に老後資産づくりができますが、拠出額に制限があります。そこで、運用益が非課税になるNISAと組み合わせて、効率的に投資できる枠を拡大することができます。

 

例えば企業年金のない会社員は、iDeCo単独の年間投資枠は27万6,000円で60歳まで掛けることができますが、iDeCoと積立NISAの投資枠40万円を合算すると年間で67万6,000円まで投資枠を拡大することができます。月に約56,000円程度の投資ができ、非課税で運用できます。毎月コツコツ運用するなら、十分な積立額ではないでしょうか。

 

ただし、iDeCoと違い、NISAは商品売却後の非課税枠の再利用ができない点に注意してください。

3.自分に合った資産運用が何かを考えることが先決!

現行のNISAと新設される積立NISAについて、その違いについて比較しましたが、留意点として、この両制度は併用することができず、いずれかの制度を選択する必要があります。

 

資産運用は運用目的を決定した上で、運用商品や運用方法を検討することになります。検討した結果、長期的な資産運用によって安定的な資産形成を目的とした場合、毎月一定の金額の積立型投信を積立NISAにより運用すれば、長期保有によって、投資リターンの安定化が可能となり、さらに高値掴み等のリスクを軽減することが可能となるため、とても有効です。

 

運用目的によっては、一括で株式や投資信託を購入し、現行のNISAにより保有し運用するケースなども考えられますし、一方で、短期的な売買を繰り返して資産運用を行うことも考えられるため、自身の目的に合った運用方法とその運用方法に合ったNISA制度の活用を検討してみてください。

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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