1.適用除外になった経緯
現在の法人税を計算するにあたって、中小法人については、いくつかの税制上優遇措置が設けられています。
現在、「多額の所得があっても、中小法人として優遇措置を受けている企業」「その優遇措置を受けるために、減資という手続きを経て、大法人から中小法人になる企業」が見受けられます。
そこで、平成29年度の税制改正により、大企業並の中小法人については、その優遇措置の適用から除外するという規制が設けられました。以下その概要をご説明致します。
2.適用除外の対象となる法人とは
平成31年4月1日以後に開始する事業年度より、平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える事業年度については、特例を適用することができません。
3.どのような優遇税制が適用除外になるのか?
- 中小法人等の法人税の軽減税率の特例(所得800万円以下に15%の税率適用)
- 所得拡大投資促進税制(給与等支給額の増加要件3%以上・税額控除の上限20%)
- 研究開発税制(総額型の12~17%の税額控除率)
- 中小企業者等の少額減価償却資産(取得価額30万円未満)の損金算入の特例
- 中小商業サービス活性化税制(30%の特別償却・7%の税額控除)
- 中小企業投資促進税制(30%の特別控除・7%の税額控除)
4.要注意!適用除外とならない特例
中小法人向けの減税措置は、上記以外にもありますが、平成29年度の税制改正では、措置法(期限付きの優遇税制)が対象になっており、期限が設けられていない税制については、対象外となっています。
そのため、下記の優遇税制については、従来通り、所得に関係なく資本金1億円以下の法人であれば適用できますので、ご注意ください。
- 欠損金の繰戻し還付
- 欠損金の繰越控除
- 法人税の軽減税率19%
など
5.まとめ
税制改正では、大企業並みの法人が中小法人の特例適用を除外するために、規制を設けています。現状では一部の優遇税制が適用除外となっていますが、今回規制の対象とならなかった減税措置についても、税の公平性から逸脱しそうなものについては、対象範囲が広がるおそれがあるため、今後の動向に注意が必要です。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
税理士変更をお考えの方はこちら