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スタッフコラム

京都事務所
2021.09.27|税制改正 相続 節税

教育資金贈与の制度が令和3年4月1日に改正されました!! (令和3年度の税制改正大綱からみる今後の相続・贈与の動向)

後世に現金や不動産などの資産を移転する方法として贈与を利用する方は多くいらっしゃいます。日本の法律で規定されている贈与の制度には様々な種類があり、毎年1月1日から12月31日までの贈与額及び贈与者・受贈者の関係に応じて贈与税が課税される「暦年贈与」や、原則として60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において暦年課税に代えて選択できる「相続時精算課税制度」、父母、祖父母等から一定の要件を満たす住宅用の家屋の新築,取得,増築等の対価に充てるため贈与を受けた場合に、一定額の贈与税を非課税とする「住宅資金贈与」などがあります。

様々ある贈与税の制度の中でも、平成25年4月1日に施行された「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(通称:教育資金贈与)は、一定の要件を満たすことにより祖父母などから30歳未満の者へ、最大1,500万円もの現金の贈与が非課税となる制度となります。多くの方が相続税対策の一つとしてこの制度を利用したり、制度の内容をご存知だと思います。制度施行以後、平成31年4月1日に相続税課税範囲について改正がありました。そして、この度令和2年12月10日に公表された「令和3年度税制改正大綱」にて制度の適用期限及び課税関係について改正されております。

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の令和3年の改正内容についてみていきたいと思います。

1.令和3年4月1日の改正内容とは

令和3年4月1日より改正された項目及び内容は下記の3点となります。

 ●「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用期限の延長
   改正前の当制度の適用期間は、平成25年4月1日から令和3年3月31日までの贈与でしたが、改正後は平成25年4月1日から令和5年3月31日までの贈与と期限が延長されることとなりました。

 ●相続税の課税対象となる場合の贈与日から贈与者の死亡日までの年数の縛りが撤廃
平成31年の改正にて、受贈者が一定の要件(※)を満たす場合を除き、贈与日が贈与者の死亡日前3年以内の分につき、教育資金として使い切れずに残った金額(以下「管理残高」という。)が相続税の課税対象となっておりましたが、改正後は、贈与日が贈与者の死亡日前のいずれの日であっても相続税の課税対象となります。
(※)① 受贈者が23歳未満である場合
②受贈者が学校等に在学している場合
③受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

 ●受贈者が法定相続人以外の者である場合に相続税額が2割加算の対象に
教育資金管理契約の終了日までに贈与者が死亡し、かつ、相続税の申告及び納税義務が発生した場合において、受贈者(一定の要件(※)に該当する場合を除く)が法定相続人以外の者(孫など)であるときは死亡日時点の管理残高に対応する相続税額が2割加算の対象となります。

  (国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」引用)

2.最後に

当制度が施行された当時は、現行法とは異なり贈与者が死亡した場合であっても管理残高に関わらず相続税の課税対象外でした。その上、平成27年1月1日には相続税の基礎控除額の改正があり、相続税の申告対象者が大幅に増えることとなったため、ご高齢の方であっても相続税の節税対策として用いられておりました。施行当時の当制度は、贈与税の制度の緩和の傾向が強かったようにみえます。

しかし、海外では贈与や相続などの後世への資産移転について厳しい取り扱いとなっております。たとえは、ドイツでは相続開始前10年以内の贈与が相続税の課税対象となります。そして、日本でも令和3年度の与党税制改正大綱の令和3年度税制改正の基本的考え方に示されていたとおり、資産の移転時期に関わらない税負担の平準化や相続税と贈与税の一体化の観点から、現行の暦年課税制度の見直しの検討が進められております。

この度の「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の改正も資産の移転時期に関わらない税負担の平準化等の観点からと言われております。今後も贈与税の制度の改正が見込まれる中ではありますが、適切に制度を理解した上で利用していただきたいと思います。

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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