1.中小企業が廃業する理由3つ
中小企業や個人事業主が廃業する理由はさまざまです。
2020年の1年間に日本国内で休廃業・解散した企業は、個人事業主を含めて56,103件となっています。[注1]
廃業以外にも倒産によって消滅する企業も多く、廃業について相談したい経営者の方は非常に大勢いると考えられます。
では、中小企業が廃業する以下の主な理由を3つ見ていきましょう。
● 経営難
● 後継者不足
● 従業員の確保が困難
[注1]PR TIMES:企業の休廃業・解散、全国5万6千件 2年ぶり減少、抑制傾向で推移
1.経営難による廃業
廃業を考える経営者の多くは、経営難を抱えています。
業績が思わしくなく、資金繰りもうまくいかない状況で、これ以上業務を続けていけないと感じるのです。
東京商工リサーチが2016年に行った「企業経営の継続に関するアンケート調査」によれば、業績の厳しさから廃業を検討している企業は全体の4割近くに上っています。
とくに2020年の新型コロナウイルスの流行に伴って業績が悪化した企業は、廃業を検討せざるを得ない状況にあるかもしれません。
2.後継者不足による廃業
企業が廃業する別の理由は後継者不足です。
以前は親の跡を継いで子どもが事業を継続することが一般的でしたが、現在では後継者不足が多くの業界で深刻化しています。
2020年に行われた前述の調査では、休廃業した企業の4割以上で、代表者の年齢が70代でした。
60歳以上で見ると、全体の84%に上っています。
代表者の高齢化と、後継者不足によって、廃業していく企業が増加しているのです。
とくに特殊な技能が必要な企業になると、後継者の育成に時間がかかるためよりいっそうこの傾向が強くなります。
3.従業員の確保が困難になり廃業
事業の内容などにもよりますが、従業員の確保ができずに廃業する企業もあります。
現在では多くの業界で人手不足が深刻化しており、必要な人員を確保できないことがあるのです。
勤務時間や給与などによってそもそも従業員の確保が難しい企業もあれば、離職率が高く従業員が定着しないことに悩んでいる企業もあります。
人手不足で業務が滞るようになると、やむを得ず廃業を検討する経営者の方も多くいます。
2.廃業を税理士に相談すべきかどうかは状況によって変わる
廃業について税理士に相談すべきかどうかは、どのような状況にあるかによって大きく変わります。
中小企業の経営者の方や自営業の方で、廃業を検討している方は、自分の状況が税理士に扱えるものかどうかを確認する必要があるのです。
● 負債よりも資産が多い場合
● 資産よりも負債が多い場合
という2つのケースに注目して確認してみましょう。
ケース1:負債よりも資産が多い場合
廃業の最初のケースは、負債よりも資産が多い場合です。
とくに経営難ではないものの、何らかの理由があって廃業する方も少なくありません。
すると、負債を処理した後の資産の取り扱いが懸案事項となります。
残った資産の取り扱いを間違えると、より多くの税金が課せられることもあるので注意が必要です。
税理士は税務のプロなので、資産の取り扱いについて的確なアドバイスを与えてくれるでしょう。
廃業によって資産が残る、相続などが関係しているといったケースでは、税理士に相談するのがベストです。
ケース2:資産よりも負債が多い場合
廃業する中小企業や個人事業主の中には、多くの負債を抱えているところもあります。
経営難になってしまい、資金繰りもうまくいかず倒産する企業も少なくないのです。
廃業して資産を売却しても負債が残るようなケースでは、税理士に相談するのは適切ではありません。
税理士は税務の専門家ではあるものの、経営や破産などについては専門外だからです。
負債を多く抱えての廃業の場合には、税理士よりも弁護士の方が手続きをスムーズに行うことができます。
廃業に必要な登記も税理士は行えず、弁護士が行うことになるでしょう。
資産よりも負債が多い状態で、税理士に廃業について相談しても、懇意にしている弁護士を紹介される可能性が高いといえます。
3.廃業の相談は経験豊富な税理士にしよう
廃業の相談を税理士にするかどうかは、どのような廃業かによって異なります。
もし資産が多く残る廃業であれば、ぜひ税理士に相談して節税の方法などについて尋ねるとよいでしょう。
一方で、負債が残る廃業であれば弁護士に依頼するのが賢明な方法です。
自分の状況にあった専門家に相談することで、手続きをスムーズに進めることができるのです。
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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