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2021.10.21|節税

法人成りとはメリットやタイミングについて解説!

個人事業主としての事業が軌道に乗って所得が増えてくると、「法人成り」することを考え始める方も多いのではないでしょうか。法人成りには節税や社会的信用の向上など、あらゆるメリットがあるように思えますが、自分で考えるだけでは漠然なイメージのままかもしれません。

そこでこの記事では、法人成りするべきタイミングや具体的なメリットについて、詳しく説明していきます。

1.法人成り(ほうじんなり)とは?

法人成りとは、個人事業主が資産や負債を引き継いで、法人を設立することを言います。一般的な会社設立は、まず資本金を集めて運転資金とすることから始まり、事業は0からのスタートとなります。

 

しかし法人成りの場合だと、実質的に事業が走っている状態で法人化できるというメリットがあるため、一般的な会社設立よりも有利なことが多いです。もし既に個人として事業を行っていて、会社設立に向けて進む目標を持っているなら、法人成りの選択も考えておくとよいでしょう。

2.個人事業主が法人成りを検討するタイミング

個人事業主が法人成りを検討するタイミングは、一つの側面からではなく後述するメリットも一緒に、さまざまな面から検討することがおすすめです。しっかりと検討することで余計な支払いを減らしたり、損を少なくしたりできるので、一つ一つ確認しておきましょう。

所得税と法人税

個人事業主は所得に応じた所得税を払う必要があります。これは5%〜45%の7段階があり、所得が増えれば増えるほど、税金が高くなる仕組みです。

 

【所得税】

所得額

所得税率

1,000~194万9,000円

5%

195万~329万9,000円

10%

330万~694万9,000円

20%

695万~899万9,000円

23%

900万~1,799万9,000円

33%

1,800万~3,999万9,000円

40%

4,000万円以上

45%

 

【法人税】

・800万円まで15%

・800万円を超える部分は23.2%

 

しかし900万円を超えると、900万~1,799万9,000円までの所得税は33%となるため、23.2%かかる法人税より、所得税の方が税率が高くなってしまいます。そのため、法人成りを考えるなら、法人税より所得税の方が税率が高くなるこのタイミングで考えるのがおすすめです。

 

消費税

消費税とは、普段の買い物やサービスなどの取引に対して課税される税のことで、消費者が負担しています。個人事業主や法人などの事業者の場合も同様に、売上高が1,000万円を超えると、翌々年度からは消費税の課税事業者となります。

 

ただし、新規で法人を設立する場合は、最大2年間は消費税の納税が免除される仕組みになっています。もし個人事業主として1,000万円を超えそうなら、課税事業者になる前に法人化することで、さらに2年は消費税を支払う義務がなくなります。

 

そのため、課税事業者になる前の段階が、法人成りにおすすめのタイミングです。少しでも消費税の支払いを減らしたいなら、このタイミングで法人成りすれば、余計な支払いをする必要がなくお得といえるでしょう。

 

社会保険

個人事業主の場合、特定の業種で5名以上雇用している場合を除いて、社会保険に加入する義務はありません。しかし法人となると、従業員の人数に関係なく、社会保険(健康保険、厚生年金)に強制的に加入する義務があります。

 

社会保険は、個人事業主が加入する国民健康保険や国民年金よりも手厚いサービスや補償が受けられるもので、法人化のメリットの一つです。ただし、従業員がいる場合は、従業員分の保険料の負担も増えることとなり、人件費の負担が重くなるというデメリットもあるので気をつけましょう。

3.個人事業主が法人成りするメリット

個人事業主が法人成りするメリットを4つご紹介します。法人成りすることで、今まで個人事業主としてやってきて不便だったことが解決する場合もありますので、ぜひ法人成りのメリットについて確認しておきましょう。

 

節税効果がある

法人成りのメリットで挙げられるのは、節税効果です。役員報酬(給与)は経費扱いとなるので、個人事業主の事業所得と比べると、全体の所得が同じ金額の場合に、課税対象額が少なくなることがあります。

 

また、個人事業主では3年しかない赤字の繰越期限が9年(事業年度によっては10年間)になるのも大きなメリットです。大きな赤字が出た際には、期間が長い方が安心できます。さらに、 個人事業主の場合には経費に計上できなかった退職金を、適正額であれば法人成り後には損金算入できるのも見逃せません。

 

社会的な信用が上がる

社会的な信用が上がるのも、法人成りするメリットとして挙げられるでしょう。例えば、個人事業主のときには取引の相手にしてくれなかった企業とのビジネスチャンスが生まれることがあります。

 

また融資を受ける際、個人事業主ではなかなか信用に結びつけにくかった金融機関から、信頼が得られるようになるかもしれません。他にも、従業員を募集した際、法人の方が応募する側にも安心感が生まれ、人を集めやすくなることもあります。社会的な信用を受けられず、個人事業主の限界を感じているなら、法人化の選択もありでしょう。

 

有限責任になる

株式会社や合同会社として法人成りをして事業を進めても、なかなかうまくいかず倒産に追い込まれるケースもあります。そんな状況に陥っても、法人成りのメリットは働いてくます。

 

個人事業主として倒産した場合、その責任は無限責任として降りかかってきますが、法人の場合は自分が出資した額の範囲内で責任を負うだけで済みます。

 

そのため、たとえ負債を負ったとしても、その負担を減らすことができるのです。自分の事業が万が一倒産するなら、といった万が一の未来も見据えつつ、事業を進めていくことをおすすめします。

 

事業承継できる

法人成りのメリットとして、事業を継続できるという点も挙げられます。個人事業主の場合、もし事業を継続できなくなったら、廃業という形になってしまいます。家族が引き継いでくれる場合でも、開業届を改めて新たに出して許可などを取り直さなくてはなりません。

 

しかし、法人成りしているなら、もし社長が退いても、新たな社長が継続して事業を継続することが可能です。なお、認可などの対象は個人ではなく会社に対してとなります。

 

 

4.【まとめ】

個人事業主として事業をされている方の中には、法人成りというと敷居が高そうなイメージを持つ人もいますが、法人成りするとさまざまなメリットがあります。

 

事業が軌道に乗って所得も増えてきたら、一度法人成りの選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。今まで以上に、事業の成功を加速できるようになるかもしれません。

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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