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スタッフコラム

滋賀事務所
2025.01.06|税の最新情報 税制改正

令和7年税制改正のポイント

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、令和7年度(2025年度)の税制改正大綱が発表されました。今回の税制改正大綱の決定までには、「年収の壁(103万円の壁)」等について国民民主党を交えた協議が行われ、その動向が大変注目されていました。そして例年より少し遅めとなりましたが、2024年12月20日、令和7年度予算の年内編成に間に合わせるタイミングに大綱が発表されました。
私たち税理士にとっても注目すべきポイントがいくつかあります。以下にその主なポイントを簡単にご紹介いたします。

1.個人所得課税の見直し

◆基礎控除と給与所得控除の引き上げ
 所得税の基礎控除が現行の48万円から58万円へ、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へそれぞれ引き上げられます。基礎控除については所得制限が設けられており、合計所得金額が2,350万円を超える個人は段階的に基礎控除額が減少します。

納税者本人の合計所得金額 現行の控除額 令和7年分からの控除額
2,350万円以下 48万円 58万円
2,350万円超2,400万円以下 48万円 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円 16万円
2,500万円超 0円 0円

 この引き上げにより、「年収の壁」は103万円から123万円となるわけですが、大綱には、さらなる引き上げを主張する国民民主党に配慮し、「178万円を目指して、来年から引き上げる」との文言とともに、自民・公明両党として、今後も真摯に協議を継続することが明記されています。

 

◆特定親族特別控除(仮称)の創設
 現在、19歳以上23歳未満の扶養親族は、「特定扶養親族」として63万円の扶養控除の対象となっています。一般の扶養親族と比べても控除額が特に大きく、特に大学生アルバイトの就業調整の一因となっているとの指摘がありました。そこで、今回新たに、同年齢の扶養親族の合計所得金額が85万円(給与収入150万円に相当)までは特定扶養親族と同額(63万円)の所得控除が受けられ、さらに合計所得金額が85万円を超えた場合でも所得控除の額が段階的に逓減する仕組みが導入されることとなりました。

親族等の合計所得金額 控除額
58万円超85万円以下 63万円
85万円超90万円以下 61万円
90万円超95万円以下 51万円
95万円超100万円以下 41万円
100万円超105万円以下 31万円
105万円超110万円以下 21万円
110万円超115万円以下 11万円
115万円超120万円以下 6万円
120万円超123万円以下 3万円

この制度により、近年の厳しい人手不足の状況が少しは改善すると良いですね。

 

◆扶養控除の条件の緩和
 基礎控除の引上げに合わせ、同一生計配偶者・扶養親族の所得上限が現行の48万円から58万円に引き上げられます。

 なお、上記の内容は令和7年分(2025年分)の所得税について適用されます。ただし、源泉徴収義務者の負担に配慮するため、源泉徴収への適用は令和8年分(2026年分)となる見込みです。

2.老後に向けた資産形成の促進

◆iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額の引き上げ
 iDeCoの拠出限度額は、勤務先の企業が企業年金を設けているかどうか、企業年金の形態がどうであるかによって、拠出限度額に大きな差がありました。多様な働き方の中でも平等に資産形成できる体制を整えるため、iDeCoの拠出限度額について、「穴埋め型」による引上げが行われることとなりました。
 また同時に、豊かな老後生活に向けた安定的な資産形成の支援という観点から、拠出限度額が7,000円の引き上げも行われます。

(1)iDeCoの拠出限度額
 ①第一号被保険者 月額7.5万円(現行:月額6.8万円)
 ②企業年金加入者 月額6.2万円から企業年金の掛金を控除した額(現行:月額2.0万円)
 ③企業年金未加入者 月額6.2万円(現行:月額2.3万円)

 

(2)国民年金基金の掛金上限額 月額7.5万円(現行:月額6.8万円)

 確定拠出年金については、加入率が3分の1以下となっており、加入している人の中でも拠出限度額の近くまで拠出している人の割合が低いという実態もあります。こうした実態を踏まえて、次期年金制度改革までに、さらに検討が加えられる予定となっております。

3.法人課税と企業支援

◆中小企業者の法人税の軽減税率の延長
 法人税の税率は、原則として23.2%です。ただし、中小企業者は、令和7年(2025年)3月31日までの間に開始する各事業年度分の年800万円以下の所得金額の部分については、税率が15%に軽減されていました。今回の大綱で発表された内容によると、この特例措置を2年間延長し、次の見直しを行うこととなりました。
 ①所得金額が年10億円を超える事業年度について、年800万円以下の金額に適用される税率を17%に引き上げる。
 ②適用対象法人の範囲から通算法人を除外する。

 

◆中小企業経営強化税制の延長と拡充
 令和7年(2025年)3月末に適用期限を迎えることとなっていた中小企業経営強化税制の期限を2年延長した上で、売上高100億円超を目指す成長意欲の高い中小企業が行う特定経営力向上設備に1,000万円以上の建物が追加されることとなりました。
 特定経営力向上設備については、取得価額の7%の税額控除か100%の特別償却のいずれかが選択できますが、今回追加された建物は、税額控除率と特別償却率が従来の設備と異なります。建物については、給与の増加割合が2.5%以上なら、1%の税額控除か15%の特別償却のどちらかが選択でき、給与の増加割合が5%以上なら、2%の税額控除か25%の特別償却のどちらかが選択できることとなりました。

4.防衛力強化のための財源確保

◆防衛特別法人税(仮称)の創設
 防衛力の抜本的な強化を目的に、令和5年度の税制改正大綱において、法人税、所得税、たばこ税で財源を確保するという基本的方向性が決められていましたが、令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から、法人税額に対して、税率4%の新たな付加税として、防衛特別法人税(仮称)が課されることとなりました。
 なお、中小法人への配慮から、課税標準となる法人税額から500万円が控除されます。
 また、所得税への課税については、導入時期の決定が見送られています。

 

 

 以上、ポイントをいくつかご紹介いたしました。詳細が明らかになり次第、さらに具体的な情報をお届けできるよう努めてまいります。

 

 本年も皆様の税務に関するお手伝いをさせていただけることを心より楽しみにしております。どうぞお気軽にご相談ください。

 

(文責:滋賀事務所 鎌田)

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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