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2024.06.10|税の最新情報 税制改正

配当を支払う株式会社の税務手続き

株主配当を検討していますが注意点はありますか?というご質問をいただくことがあります。
そこで、配当を支払う株式会社の税務手続きをまとめてみました。

1.まず会社法の確認を!

 会社法第453条で「株式会社はその株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。」と定められています。ただし、会社法第458条で「株式会社の純資産額が300万円を下回る場合には、適用しない。」とされています。
その他にも、配当することができる金額、利益準備金の積立、配当に必要な株主総会の決議などが会社法に定められていますのでご確認ください。

2.配当と源泉徴収

Ⅰ:配当を支払う株式会社は下記の税率で源泉徴収する必要があります。

 ①上場株式の配当
  大口株主等(※1)   20.420%(所得税20%、復興特別所得税0.420%、住民税0%)
  その他の個人株主     20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
      法人株主         15.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税0%)

 

  (※1)令和4年度税制改正により、
     令和5年10月1日以降の上場株式の配当について大口株主等の範囲が見直されました。
     ・令和5年9月30日まで
       配当基準日において上場株式の発行済株式総数の3%以上を保有する個人株主
     ・令和5年10月1日以降
      株主本人が保有する株式に加え、一定の同族会社が保有する株式を含めて3%以上保有している個人株主

     なお、大口株主等が受け取る上場株式の配当は配当所得として総合課税の対象となり、
     申告分離課税や確定申告不要制度を選択することはできません。
     ただし、少額配当(1回の支払いが「10万円×配当計算期間月数÷12」」以下)に該当する場合は、
     確定申告不要を選択することができます。
 
 ②非上場株式の配当 
  一定の内国法人(※2)  源泉徴収なし
  上記以外        20.420%(所得税20%、復興特別所得税0.420%、住民税0%)

 

  (※2)令和4年度税制改正により、
     令和5年10月1日以降に支払を受けるべき下記の配当等について源泉徴収が不要となりました。
     ・法人税法第23条第5項に規定する完全子法人株式等に該当する株式等
      (その内国法人が自己の名義をもって有するものに限ります。次の②において同じ)に係る配当等
     ・その内国法人が保有する他の内国法人の株式等の発行済株式等の総数等に占める割合が
      3分の1超である場合における当該他の内国法人の株式等に係る配当等

 

Ⅱ:源泉徴収した国税(所得税と復興特別所得税)は配当を支払った日の翌月10日
  (配当が未払の場合は支払が確定した日から1年を経過した日の属する月の翌月10日)までに
  配当を支払った法人の所轄税務署に納付します。
  給与所得の源泉所得税の納付書とは書式が異なるので注意が必要です。
  納付書の記載のしかたはこちら

 

  地方税(住民税)は支払った日の翌月10日までに各個人株主の住所地の都道府県に納付します。
  納付に必要な納入申告書は全国共通様式となっており、最寄りの都道府県で配布しています。
  各都道府県の担当窓口はこちら

 

3.配当と支払調書

 配当を支払う法人は、配当の支払確定日または配当を支払った日から1か月以内に支払調書と合計表を所轄税務署に提出する必要があります。 「配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書(同合計表)」はこちら

4.印紙税も要チェック!

 下記の文書は名称のいかんを問わず印紙税の第16号文書「配当金領収書又は配当金振込通知書」に該当し、
配当金額の記載がない場合と記載された配当金額が3,000円以上の場合は1通につき200円の印紙が必要です。

 

・配当金の支払いを受ける権利を表彰する証書
 法人が株主の配当請求権を証明した証書で、株主が証書に記載された取扱銀行等に持参すると配当金の支払いを
 受けることができる証書をいいます。
・配当金の受領の事実を証するための証書
 法人が株主に送付する証書で、株主が取扱銀行等から配当金の支払いを受けた際に
 その事実を証するために使用する証書をいいます。
・振込済みである旨を株主に通知する文書
 法人が株主に対して株主の口座に配当金振込の事実を通知する文書をいい、
 配当金を「振り込みます」「振り込む予定です」という内容の文書も含みます。

 

 例えば、税務署に提出する支払調書のみ株主に交付する場合、支払調書は課税文書に該当しませんので印紙は不要です。

                                                   

(文責:広島事務所 鵜城)

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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