1.返還インボイスとは
返還インボイスとは正確には「適格返還請求書」といいます。
返品や値引きにて売上の"返還"があった際は、「売り手」が「買い手」に対して適格返還請求書(=返還インボイス)を交付しなければなりません。
具体的には下記のような内容が対象になります。
・返品や値引き
・歩引きなどの売上割引
・販売奨励金
2.返還インボイスの特例
上記の通り売上の返還があった際は、原則、返還インボイスの交付義務がありますが、
「その税込価格が1万円未満」の場合は、返還インボイスの交付義務が免除されます。
例えば、売手が負担する振込手数料相当額を売上値引きとして処理している場合には、通常、当該振込手数料相当額は1万円未満となりますので、
当該売上値引きに係る返還インボイスの交付義務が免除されます。
※出典:国税庁https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/03.htm
3.1万円を超える場合の対応
売上の返還については1万円を超えることも想定されます。
1万円を超える場合は売り手が買い手に下記1.から5.の記載事項を満たした返還インボイスの発行が必要です。
1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
2. 売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日
(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えありません。)
3. 売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
(売上げ に係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
4. 売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
5. 売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率
※出典:国税庁HP
また、返還インボイスは、売り手が買い手に交付することが"原則"ですが、
買い手が返還インボイスの記載事項を満たした「仕入明細書」を作成し、
「売り手の確認を受ける」ことができれば、売り手は返還インボイスを発行しなくてもよいとされています。
4.最後に
インボイス制度が始まり、インボイスについて想定していない取引や事象が発生してくると思われます。 返還インボイスなどの特殊事象のことも知る・想定するだけで今後取引先様への対応も迅速に行えることになります。 もし他特殊事象や不明点なこと・不安なことがありましたら是非弊社にご相談ください。
(文責 滋賀事務所 徳田)
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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