1.はじめに
令和4年度の確定申告の主な変更点は、先週1月23日のコラムの通りです。
「確定申告書A」が廃止され「確定申告書B」に統合された「令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の申告書」を使用すること、「公金受取口座の登録・利用」欄、及び「退職所得のある配偶者又は扶養親族の氏名等」欄、並びに申告書第1表に「修正申告」欄がそれぞれ追加されたこと、そして、収支内訳書(一般用)に「営業等又は雑(業務)」欄が追加されたこと等が主な変更点となっています。
今週は、確定申告書上のその他の変更点や、雑所得に関する取扱いが厳格化されたことの詳細につき、ご紹介したいと思います。
2.2022年分(令和4年分)申告書のその他変更点等
(1)住所変更に関する届出書について
従来、所得税や個人事業主の消費税に関して、引越し等の住所変更によって納税地が異動・変更となった場合には、「納税地の異動又は変更に関する届出書」を(異動・変更後の納税地を所轄する税務署長に)提出する必要がありました。
この点、令和5年1月1日以後の納税地の変更等については、確定申告書の記載内容で確認できるため、当届出書の提出は不要となりました。また、異動後も継続して振替納税の適用を受けるためには、従来は、異動届出書に継続希望の有無を記載することとなっていましたが、当異動届の提出が不要となりました。確定申告書の第1表に、「振替納税希望」の記載欄が設けられていますので、該当する場合は、「〇」を入れるようにして下さい。「〇」を記入しなかった場合は、別途、振替納税手続きが必要となりますのでご注意下さい。
(2)雑所得に関する取扱いについて
雑所得は、「公的年金等」「業務にかかるもの」「それ以外」の3種類に分類されます。この中で「業務にかかるもの」は、前々年分の収入金額が300万円を超えた場合は、請求書や領収書などの取引書類の保存が義務化されています。また、確定申告後5年間は保存する必要があります。さらに、雑所得と事業所得の区別については、その所得を得るための活動が事業と考えられる規模であれば事業所得、そうでない場合は雑所得に該当することとなります。当判断基準に関しては、営利性や継続性、その目的等を総合的に勘案して判断されますが、明確な基準に関しては言及されていません。そこで、帳簿書類の記録や保存を一つの判断基準として活用することとなります。
下記リンク先は、国税庁が紹介している「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)令和4年10月7日解説」より引用したものです。前述の通り、事業所得と業務にかかる雑所得の区分については、社会通念で判定することが原則となりますが、その所得に係る取引を帳簿書類に記録し、かつ、記録した帳簿書類を保存している場合には、その所得を得る活動について、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有し、社会通念での判定において、事業所得に区分される場合が多いと考えられます。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf
3.おわりに
確定申告期間は、令和5年2月16日から3月15日までとなっています。令和4年提出分の確定申告については、新型コロナウイルス感染症の影響で、申告期限につき1ヶ月延長されていましたが、令和5年提出分の確定申告の延長措置は、現時点ではその発表はない状況です。
いよいよ次月より申告開始となるため、余裕をもって、期限内に申告手続きを終えるようにしましょう。
(文責:京都事務所 山田)
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