1.総額表示義務について
2004年4月1日より値札や広告など、あらゆる媒体での価格表示において消費税を含めた『総額表示』が義務付けられていますが、2014年4月1日及び2019年10月1日の二度の消費税率の引き上げに際し、値札の貼り替え作業などといった事業者の事務負担に配慮する観点から、特別措置として、2013年10月1日から2021年3月31日までの間は、「表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」が講じられている場合は、税込価格を表示する必要はないとされていました。
2.総額表示の目的
以下の理由により、総額表示が義務付けられています。
①消費者が支払い金額を一目で認識できるようにするため
②同一の商品・サービスについて、容易に価格比較ができるようにするため(税抜価格で表示されたものと税込価格で表示されたものが混在することにより、消費者が商品等の選択を行う際の誤認をを避けるため)
3.罰則規定は?
現状、特に罰則はありませんが、総額表示に対応しないことにより消費者が税抜価格と税込価格を誤認するような場合は、景品表示法における有利誤認とみなされ、行政指導が行われる可能性があります。
4.総額表示の具体例
2021年4月1日以降は、税込価格がはっきりと分かる表記にする必要があります。
※総額表示義務は、一般消費者に対して商品の販売やサービスの提供を行う事業者が対象で、企業間取引は対象外です。
5.まとめ
ウェブサイトやチラシ・カタログなど、事業者はあらゆる媒体で総額表示での対応が求められます。
3月に入り、ユニクロとジーユーを展開するファーストリテイリングは、総額表示の完全義務化に伴う対応として、3月12日から全商品の価格を総額表示に変更、これまでの商品本体価格をそのまま消費税込みの価格とすると発表しました。この対応により、総額表示に対応する前と比較して全商品が約9%の値下げとなるそうです。
『総額表示』の完全義務化まであと少し。現時点では罰則はありませんが、対応がまだの場合は、早めの対応をおすすめいたします。
(文責:京都事務所 平尾)
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
税理士変更をお考えの方はこちら