1.テレワークを導入したいけれど・・・
テレワークの導入を検討したものの、導入方法がわからず、どうすれば良いのかと躊躇されている中小企業の方が多いのではないでしょうか。
そんな場合に活用できる「導入支援策」が3つほどありますので、紹介しておきます。
【専門家の支援を活用】
総務省では2021年3月31日までの期間、テレワークのノウハウ等を有する専門家派遣を実施中。無料コンサルティングを受けることが出来ます。
【IT導入補助金を活用】
テレワークに必要な設備費用の補助支援として、中小企業や小規模事業者向けにIT導入補助金が設けられています。
【設備投資減税を活用】
中小企業が一定の設備を取得し、指定事業用に使用した場合、その設備取得価額に対して特別償却又は税額控除の適用を受けることが出来ます。
2.テレワーク導入 従業員への対応はどうすべき?
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染が広がる以前の2018年2月、「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)」の適切な導入及び実施のためのガイドラインを策定しています。
そのガイドラインで主に取り上げられている課題として、
◆労働時間の適正な把握
◆長時間労働対策
◆労働安全衛生法の適用及び留意点
◆労働災害の補償に関する留意点
などがあげられています。
(厚生労働省 ガイドラインパンフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/000828987.pdf
他にも、通信費や通信機材の購入など、企業と労働者でどのように費用の負担をするかなどが問題となります。このような労使間のトラブルを避けるためにも、これらの課題については就業規則で明確に決めておくことが必要です。
3.テレワーク中のケガや病気 それってどうなる?
仕事に関する補償というと労災(労働者災害補償保険)があります。
労災とは「業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、傷害、死亡等に対して必要な保険給付を行う」とされています。労災には「業務災害」と「通勤災害」がありますが、在宅テレワークの場合「通勤災害」は該当しないものとして、「業務災害」と同様の取り扱いになります。
【業務災害としての条件】
①使用者の指揮命令下における業務時間内であること
②業務と因果関係があること
この両方の条件を満たしていれば「業務災害」として認められることになります。
例えば在宅テレワーク中に椅子に座ろうとして転倒しケガをした場合、業務災害の対象となるとされています。一方、在宅テレワーク中に家事をしようとしてケガをした場合、業務との因果関係が無いため業務災害と認められないことになります。
またテレワーク期間中に家族が新型コロナウイルス感染し自分も感染した場合はどうなるのか。医療従事者や小売業店員など感染リスクが高い業種とされている人が感染した場合は、通常業務との因果関係があると考えられるので業務災害として認められるとされています。しかし、在宅テレワークの場合「自宅」という私的な空間での感染とされるため、業務災害として認められるのは難しいでしょう。
4.テレワーク中のケガで仕事ができなくなったら?
もしテレワーク中椅子に座ろうとして転倒し骨折、入院治療をすることになり仕事ができなくなったときはどうなるのか。このような場合は労災(業務災害)の休業補償給付を受けることが出来ます。
ただ、この給付を受けられるのは4日以上仕事をすることが不可能と診断された場合になり、休業4日目以降が労災給付の対象となります。
では労災給付対象外の休業開始3日間はどうなるのか。業務災害の場合、この3日間は使用者(企業)が労働者に対して休業補償を支払う必要があり、具体的には平均賃金の100分の60の額を支払うことになります。この休業補償は非課税所得となるので、所得税計算の対象外です。
一方、新型コロナウイルスに関連して企業側の判断でお店などを休業し労働者を休ませた場合、企業側である使用者は「休業手当」を支払う必要がありますが、この「休業手当」は税金面での取り扱いが違います。「休業手当」は企業側が従業員を休ませた日に対して平均賃金の100分の60以上を支払うことになりますが、これは給与所得として通常支払う給与と同様源泉所得税を控除することになります。
どちらも労働者が休んでいる期間の生活保障を目的としたもので企業側が労働者に対して支払うものですが、税金の取り扱いについては異なるのです。
5.独自の「働き方改革」へ
これまで会社へ出勤して業務をするのが当然と思っていた社会から一変、新型コロナウイルス感染拡大に伴い一気に働き方の常識が変わってしまいました。2019年より「働き方改革」ということで「時間外労働の上限規制」「年5日の年次有給休暇の確実な取得」「同一労働同一賃金」といった改正が随時施行されていますが、これから「ウィズコロナ」時代とされ「新しい生活様式」となるなか、テレワークの積極的な導入など企業内改革が求められるものと思います。
今、事業経営の在り方とテレワークなど従業員の働き方全体を見直す時なのかもしれません。一度従業員と話し合って就業規則等を見直し、各企業独自の「働き方改革」を検討してみてはいかがでしょうか。
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