1.適格請求書等の発行義務はいつから?
適格請求書等保存方式の下では、適格請求書発行事業者である売手は、取引の相手方の求めに応じ、適格請求書を交付する義務が課されています。令和5年10月1日以後に行う取引について適用されることとなります。
この点、同じ取引であっても、売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が必ずしも一致しない場合があります。 例えば、売手が出荷基準により令和5年9月に課税売上げを計上し、買手が検収基準により令和5年10月に課税仕入れを計上するといったことも生じます。この場合、売手においては、適格請求書等保存方式の開始前に行った取引であることから、買手から当該取引について適格請求書の交付を求められたとしても、当該取引に係る適格請求書の交付義務はありません。
このため、買手は、売手における課税売上げの計上時期が令和5年10月1日以後のものとなる取引から、仕入税額控除の適用を受けるために適格請求書等を保存する必要があります。
なお、上記の例のように、売手における課税売上げの計上時期が令和5年9月となる取引については、買手は区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます。
2.電気料金等のように検針日等が10月1日を含んでいる場合
検針した期間に令和5年10月1日を含んでいたとしても、検針日により仕入れを計上している限り、令和5年10月1日前後の取引を厳密に区分する必要はありません。
3.未成工事支出金及び建設仮勘定に係る仕入税額控除の特例を適用している場合
引渡し等の日(課税仕入れを計上する日)が令和5年10月1日以後であったとしても、当該未成工事支出金等となる課税仕入れに含まれる令和5年10月1日前の取引については、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます。
4.短期前払費用に係る課税仕入れについて
短期前払費用に係る取引に係る売手における課税売上げの計上時期が令和5年10月1日以後になるものであっても、買手において同日前までに課税仕入れを計上しているものについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます。
5.工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例を適用した場合(売手)
工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)など、資産の譲渡等の時期の特例により、資産の譲渡等を行ったものとみなされるものについては、適格請求書の交付を要しないこととされています。
6.最後に
インボイス制度に関しては、制度開始後も実務上疑問点が多く生じる事が予想されます。
その際は是非、弊社担当者にご相談ください。
(文責:京都事務所 加藤)
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
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