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2025.03.31|お知らせ

上から目線も甚だしい ~CEOコラム[もっと光を]vol.269

 先週末、ちょっと驚くニュースが流れてきました。金融担当大臣が28日午前の閣議後の記者会見で、国内の上場企業約4,000社に対して、有価証券報告書を株主総会の開催日に先だって提出・開示するよう要請すると発表したのです。

 

 要請文のタイトルは「株主総会前の適切な情報提供について」となっており、有価証券報告書には投資家の意思決定に有用な情報が含まれていることから、投資家が株主総会の前に有価証券報告書を確認できるよう配慮する必要があるとして、25年3月期から株主総会の前日ないし数日前に有価証券報告書を提出することを要請しています。

 

 そもそも有価証券報告書に記載される財務諸表は株主総会で確定してはじめて公表できるという建前から、かつては株主総会終了後でなければ提出・開示できないと理解されていました。ところが、株主総会を規制する会社法と有価証券報告書の提出を義務付ける金融商品取引法の間で明確な調整規定がないことを奇貨として「株主総会開催前に有価証券報告書を開示する」という実務が一部の上場企業で実行されるようになりました。

 

 有価証券報告書に投資家の意思決定における有用な情報が含まれていることは事実です。しかし、一口に投資家と言っても、それは必ずしも現在の株主ではなく、将来株主になるかもしれない不特定多数のヒトたちです。会社にとって優先するべきは現在の株主のはずですから、未知の株主に対して情報を優先開示する理由はありません。それにもかかわらず、行政が出しゃばって「要請」とは理解に苦しみます。挙げ句の果てに「株主総会前の提出を行わなかった場合の今後の予定等について調査を行うなどの対応を検討する」とは、上から目線も甚だしいと言わざるを得ません。

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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