1.失業給付における給付制限期間が緩和されます
現在は転職のためなど自己都合で離職した場合、特定期間の7日間に加え、原則2ヶ月間の給付制限期間があり、その間はすぐに失業給付を受け取ることができません。
この給付制限は、働く意思が無く、失業給付受給を目的とした安易な退職を防ぐためとして設けられていた制度です。
しかし、最近は働く意思を持ち、再就職活動をするための自己都合退職者が増加しているということもあり、2025年(令和7年)4月よりこの給付制限期間が1ヶ月に緩和されることとなりました。
ただし、短期間での入退社の繰り返しを防止するため、5年間で3回以上正当な理由の無い自己都合退職を繰り返した人の給付制限期間は引き続き3ヶ月とされます。
2.育児休業に関して2つの新たな給付が始まります。
現在、育児休業に関しては「出生時育児休業給付」「育児休業給付」の2つの制度があります。
この制度に加えて、「共働き・共育て」及び育児期を通じた柔軟な働き方を推進するために、新たに次の2つの給付制度が創設されます。
◆出生後休業支援給付
男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内に、14日以上の育児休業を取得すると最大28日間、休業開始前賃金の13%の額が支給されます。
既存の「育児休業給付」に新設されるこの「出生後育児休業支援給付」が追加されることで、休業開始前賃金の80%の額が支給されることになり、社会保険料の免除を合わせると手取りが休業前と変わらなくなります。
◆育児時短就業給付
現在、育児のために時短勤務となり、賃金が低下した労働者に対する給付制度はありません。
新設される給付はその対策として、2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合に、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給する「育児時短就業給付」が創設されます。
3.高年齢雇用継続給付の支給率が下がります
高年齢雇用継続給付は、被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者で、賃金が60歳時点の75%未満となった場合に、賃金の15%が支給される給付です。
この給付が、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律による高年齢者雇用確保措置の進展等を踏まえて給付率が見直され、2025年4月より支給率が15%から10%に縮小されます。
4.2025年4月までに社内規程の見直しを
企業によっては各種給付を見越した賃金規程となっているところがあるかと思います。
特に「高年齢雇用継続給付」はそういった給付の代表例と言えます。
そのような企業にあっては今回ご紹介した「高年齢雇用継続給付の給付率縮小」の施行により賃金規程を見直す必要があります。
また労働人口減少にある今、人手不足が大きな問題となり、シニア世代の雇用を増やしている企業も多くあります。
今回の改正を機会に、就業規則・賃金制度・雇用契約などを見直す機会とされてはいかがかと思います。
(文責:滋賀事務所 石藏)
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