1.働き方改革とは
近年、「働き方改革」という言葉をよく耳にするようになりました。
厚生労働省によると、働き方改革とは「働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で『選択』できるようにするための改革」のことです。
国が働き方改革を推進しているのは、日本が直面している「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「働く人々のニーズの多様化」といった課題を解決するためです。それらに対応するためには、「長時間労働の是正」「正規・非正規の格差の解消」「多様で柔軟な働き方の実現」が重要な柱だとされています。
2.作業効率を上げる重要性
働き方改革だから「早く帰ろう」といっても、業務量が減るわけではありません。昔は仕事が終わらないなら長時間残業して終わらせるという考え方もありましたが、今は限られた時間の中で今までと同じ量の業務をこなすことが求められています。
より短い時間で仕事の効率を上げることは、生産性向上や労働時間削減につながります。作業が早い人は会社からの評価が高まり、モチベーションも向上しますし、本人が心身ともに健康な状態を保つことで、社員の定着率や従業員満足度の向上につながります。
3.仕事が早い人の特徴
生産性が高い人は、常に仕事の目標や目的を明確に把握し、高いモチベーションを維持しています。目標があれば、仕事の意義やメリットが理解でき、無駄な時間を削減します。
また、仕事が早い人は完璧主義に囚われず、及第点を目指して業務効率を重視します。必要な完成度を把握し、後からブラッシュアップすることで効率を保ちます。
タスクの優先順位をつけることも得意です。生産性が高い人は本当に必要な業務を把握し、重要度が高い仕事から効率的に進めます。納期や求められるレベルに応じて優先順位を決めます。
4.作業効率を上げる具体的な方法
①目的・目標を明確にする: 仕事の目的や目標を明確にすることで、自分が何をすべきかがはっきりし、効率的に仕事を進められます。
②優先順位を決める: 優先度の高いタスクから取りかかることで無駄な時間を削減します。クリエイティブな作業や得意なタスクを先に終わらせる工夫も効果的です。
③整理整頓をする: 散らかった環境は注意散漫につながります。デスク周りやファイル整理を行い、集中力を高く保ちましょう。
④タスクにかかる時間を把握する: タスク完遂に要する時間を明確にすることでスケジューリングがしやすくなります。
⑤時間を区切りメリハリをつける: ToDoリストやタスク管理表で時間を区切り、集中しやすい状況をつくりましょう。
⑥定常業務をテンプレート化・マニュアル化する: 定型業務はテンプレート化して労力を削減しましょう。
⑦ITツールを活用する: RPAやCRMなどのツールを導入して業務効率を上げましょう
5.最後に
働き方改革といって「残業をさせないように」と安易に従業員の退社時間を早めても、業務量が変わるわけではありません。持ち帰り残業や残業規制のない管理職の負担が増えるなど、より過重労働の実態が見えなくなる危険性もあります。
会社は社員の本当の声を聞き、社員にモチベーションを維持しながら仕事をしてもらえるように一緒に改善点を考え、その役目を務めるべきです。
対して社員側も、漫然と働くのではなく、より自分の価値を高め会社に貢献できる人材となれるように努力を続けるべきです。
「ウェルビーイング経営」という言葉があります。
ウェルビーイング(Well-being)とは、人間が身体的・精神的・社会的に満たされた状態を示す概念です。日本語では「幸福」や「よく生きる」と訳されますが、ウェルビーイング経営とは、「従業員の心身の健康を向上させ、企業の生産性につなげる」経営戦略の一つです。
働き方改革をやりきり、ウェルビーイング経営が実現すれば、会社も社員も更なる高みへと上ることができるのではないでしょうか。
(文責:京都事務所 牛尾)
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
税理士変更をお考えの方はこちら