1.事業所税の対象都市は?
事業所税の課税団体は次の77団体です。(令和5年4月1日現在)
- 東京都(特別区の存する区域)
- 政令指定都市(20市)
札幌市、仙台市、新潟市、千葉市、さいたま市、横浜市、川崎市、相模原市、静岡市、
浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市
- 首都圏整備法の既成市街地を有する市(3市)
川口市、武蔵野市、三鷹市 - 近畿圏整備法の既成都市区域を有する市(5市)
守口市、東大阪市、尼崎市、西宮市、芦屋市 - 人口30万以上の政令で指定する市(48市)
(北海道) 旭川市
(東北地方)秋田市、郡山市、いわき市
(関東地方)宇都宮市、前橋市、高崎市、川越市、所沢市、越谷市、市川市、船橋市、松戸市、柏市、
八王子市、町田市、横須賀市、藤沢市
(中部地方)富山市、金沢市、長野市、岐阜市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市、豊田市
(近畿地方)四日市市、大津市、豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、姫路市、明石市、奈良市、和歌山市
(中国地方)倉敷市、福山市、
(四国地方)高松市、松山市、高知市
(九州沖・縄地方)久留米市、長崎市、大分市、宮崎市、鹿児島市、那覇市
2.事業所税の計算方法は?
事業所税には資産割と従業者割があり、それぞれ免税点の判定と税額計算を行います。
- 資産割とは
非課税の床面積を除き
対象都市の事業所等(事務所・店舗・工場・倉庫等)の合計床面積が1,000㎡を超える場合に
算定期間(法人は事業年度、個人は1月1日から12月31日)の末日現在における
事業所床面積1㎡につき600円が課税されます。
テナントビル等の場合、ビル等の所有者(貸主)ではなく
ビル等を借りて事業を営んでいるテナント(借主)が納税義務者となり
貸主は「事業所用家屋貸付等申告書」を提出する必要があります。
共用部分がある場合は、専用部分の床面積に
(共用部分の床面積)×(専用部分の床面積)/(各専用部分の床面積合計)を加えて計算します。
算定期間の中途で事業所を新設・廃止した場合、税額計算は月割計算を行います。
- 従業者割とは
非課税の従業者を除き
対象都市の事業所等の合計従業者数が100人を超える場合に
算定期間中に支払われた従業者給与総額の0.25%が課税されます。
従業者には役員(使用人兼務役員)や臨時の従業者を含み
役員以外の障害者と年齢65歳以上の者は除かれます。
パートタイマーは免税点の判定では従業者数に含めませんが、税額計算では従業者給与総額に含めます。
また、雇用改善助成対象者の給与等の額の1/2に相当する額は従業者給与総額から控除します。
3.事業所税の申告納付期限は?
法人は事業年度終了後2か月以内、個人は翌年3月15日が申告納付期限です。
税金がかからない場合でも
算定期間の末日の合計床面積が800㎡を超える場合や合計従業者数が80人を超える場合
前年に事業所税の納税義務があった場合は申告が必要です。
事業所税には申告期限の延長制度はなく
申告に不備があると不申告加算金、過少申告加算金、重加算金、延滞金などの附帯金も発生しますのでご注意ください。
4.事業所税の注意事項は?
- みなし共同事業
特殊関係者(親族その他特殊な関係にある個人または同族会社)を有している者が
その特殊関係者と同一の家屋で事業を行う場合、共同事業とみなします。
・免税点の判定 特殊関係者を有する者と特殊関係者の事業を合算して判定します。
・税額計算 特殊関係者を有する者と特殊関係者の事業を合算せず単独で計算します。
- 非課税対象施設
公益法人等が収益事業以外の事業の用に供する施設、
医療施設・路外駐車場等の公共性が高く都市機能上必要とされる施設、
勤労者の福利厚生施設(食堂、休憩室、体育館等)、
消防・防災用設備など事業所税が課税されない施設があります。
- 課税標準の特例対象施設
協同組合等、倉庫業者が本来の事業の用に供する施設、
ホテルまたは旅館営業の用に供する施設など事業所税の税負担が軽減される施設があります。
- 減免対象施設
災害により損害を受けた場合など申告納付期限までに申請書を提出することで
事業所税が減免される場合があります。
5.最後に
事業所税はすべての地方自治体で課税される税目ではなく
対象となる床面積、従業者給与以外にも非課税、課税標準の特例、減免など細かい規定があります。
事業所税がかかりそうだと思ったらまずはご相談ください。
(文責:広島事務所 七條)
※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。
税理士変更をお考えの方はこちら