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スタッフコラム

札幌事務所
2023.02.06|お知らせ

令和5年度税理士試験の変更点について

はじめに

昨年実施された令和4年度税理士試験の受験者数は28,853人と令和3年と比較すると微増はしたものの、ピーク時の平成17年(2005年)と比較すると27,461人減少している。AIの発展・IT技術の進歩により、税理士はなくなる職業ランキングの上位に位置しており、人口減少が相まって税理士を志す受験生が減少していると考えられる。
そこで日本税理士会連合会と財務省や国税庁は協議を重ね、税理士試験受験資格の緩和を行うことで税理士試験の受験者数を増加させようと考えた。ではどのような点が変更となるのか紹介していく。

1.従来の受験資格

 税理士試験の受験資格は大きく分けて3つある。
 1つ目は学識による受験資格であり内容は大学、短大又は高等専門学校を卒業し法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者。大学3年次以上で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者。一定の専修学校の専門課程を修了したもので、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者。司法試験合格者。公認会計士試験の短答式試験に合格した者のいずれかの条件を満たした者である。
 2つ目は資格による取得資格であり内容は日商簿記検定1級合格者又は全経簿記検定上級合格者が対象となる。
 3つ目は職歴による受験資格であり内容は法律又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者。銀行、信託銀行、保険会社において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者。税理士・弁護士・公認会計士の業務の補助事務に2年以上従事した者のいずれかの条件を満たした者である。

2. 変更点

 令和5年の税理士試験では会計学に属する試験科目(簿記論・財務諸表論)の受験資格の制限がなくなり誰でも受験が可能となる。また、それ以外の税法に関する試験科目(所得税法・法人税法・相続税法・消費税又は酒税法・国税徴収法・住民税又は事業税・固定資産税)では1つ目で触れた学識での受験資格が緩和されこれまで大学や短大、高校専門学校(専修学校)での履修科目を法律学又は経済学という縛りがあったところから社会科学に属する科目へ範囲を拡大させることで受験資格が付与される人数が増加されると考えられる。

3. 終わりに

 会計に関する試験科目(簿記論・財務諸表論)は受験資格の条件が撤廃されたことからこれまで受験できなかった大学在学中の学生が科目合格し卒業までに5科目合格となれば新卒で税理士として就職するというケースも増えるだろう。また簿記1級(上級)を取得していない社会人、更には高校生までもが受験し受験者数は増加すると考えられる。これまで税理士試験にチャレンジできなかった人々が科目合格することにより会計事務所などで働くといった雇用も生まれるだろう。
 一方で受験資格は緩和されたものの試験の難易度は従来と変わらない。多くの時間を要し試験のために学習・準備する必要があることに変わりはない。チャレンジする人数が増えれば当然ライバルも増えるだろう。税理士試験の価値は下がらないため税理士という資格のブランドはこれまで通り高いものとなるだろう。

引用: https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/01.pdf
    https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/shikaku.htm

 

(文責:札幌事務所 徳山)

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