サケやサンマなど北海道を代表する魚の不漁が続いている。一方でブリなど、本来暖かい海の魚が多く網にかかっている。
長いスパンで取れる魚が変わる「魚種交代」が起こっているのかもしれない。
ブリの他に、北海道東部の羅臼町で、サバの大漁が続いている。水揚げは2020年の100倍を超えていて、漁師らも驚いている。船が満杯になるほどの魚。サバが大漁だ。
羅臼町では11月中旬以降、秋サケなどの定置網でサバがとれている。羅臼漁協によると、毎日数十トンから数百トンの水揚げがあり、11月26日までに漁獲量はあわせて1450トンに上った。
2020年の水揚げは12トンで、100倍を超える大漁に漁師らは驚いている。
漁師 :「(サバの大漁は)初めてだわ。なんなんでしょうね」
北海道内では秋サケの不漁が続いているが、羅臼ではサバのほかにもスケトウダラが豊漁で、港はにわかに活気づいている。
サケの不漁は東北でも深刻だ。
2020年の全国の水揚げ量は約40年ぶりの低水準で、21年も厳しい状況が続いた。短期的な不漁とは異なるとして、海外では豊漁の地域もある。謎の不漁に関係者は頭を抱える。
震災前はサケの捕獲数が本州の河川で1位になったこともある福島県楢葉町を流れる木戸川。
9月下旬から11月上旬にかけてのサケの遡上(そじょう)は町の風物詩で観光資源だったが、「異変」が起きた。
2020年10月末、川の浅瀬で行う木戸川漁協伝統の「合わせ網漁」を報道陣に公開したところ、1匹もかからなかったのだ。
サケは、稚魚を放流してから4年で母川に戻ることが多く、4年目に当たる20年は平均的な回帰率であれば2万2千匹が戻る計算だったが、結果は751匹だった。
サケの不漁は全国的な傾向だ。
19年度の水揚げ(1973万匹)は1978年度(1620万8千匹)以来、42年ぶりの低水準で、20年度(2017万8千匹)も5年前と比べ半分以下に低迷する。
水揚げ量のうち約9割は北海道が占めるが、本州では東北が主な漁場として知られる。
親魚の不漁でイクラも高騰している。
2021年10月に総務省統計局が実施した小売物価統計調査によると、全国のスーパーで売られているイクラ100g値段の平均は1,536円。
2015年1月~2021年10月(過去82ヵ月)の期間で全国内のイクラが最も高かった最高値月は2018年7月で1,581円、逆に最もイクラが安かった最安値月は2015年1月で1,128円となっている。
イクラとサケの値段が上がり、都内の飲食店では看板メニューが消えた店も出てきている。
札幌市内のスーパーでも、100g千円以上で販売している店が多く、買い物客は遠目に見て買い控えている。
北海道ならではこの時期食卓に並ぶイクラのしょうゆ漬けも、今年は手が出ないご家庭も多いように見受けられる。
秋の味覚「サンマ」も、昨年に続き今年も不漁のようだ。漁獲量は「近年でピークだった2008年と比べ、去年は10分の1以上減少」、価格は「この3年高騰が続き、2008年の約7倍に」なっているという。
サンマの価格を、総務省統計局「小売物価統計調査結果」の「主要品目の都市別小売価格」で調べた。
2021年8月版によると東京都区部で、100グラム当たり156円だ。08年8月版では、同121円だった。
北海道根室市の漁港で大量に水揚げされるサンマ。
例年、札幌市内のスーパーで一匹78円で販売されるが、今年は100円以上だったのでサンマに100円以上は支出したくないとイクラと同様買い控えている買い物客が目立ったように思われる。
秋冬、北海道の食卓に並ぶ、サンマ、サケ、イクラ。
今年は一度も口にすることなく年の瀬を迎える道民は多いのかもしれない。
(文責:札幌事務所 渡部)
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