1.源泉所得税の納期の特例制度とは?
給与などから源泉徴収した所得税は、原則として徴収した日の翌月10日までに国に納めなければなりません。
しかし、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者については、
源泉徴収した所得税を年2回にまとめて納付する納期の特例制度が設けられています。
ただし、すべての源泉所得税が納期特例の対象となるわけではなく、
納期の特例の対象は次に掲げるものに限られています。
・給与等及び退職手当等(非居住者に支払ったものを含む)
・税理士、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、
海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士等に支払った報酬・料金
納期の特例の納期限は下記の通りです。
1~6月に支払った所得から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税 7月10日
7~12月に支払った所得から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税 翌年1月20日
2.納期の特例に必要な手続きは?
源泉所得税の納期の特例を受けるためには、
所轄税務署長に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して承認を受ける必要があります。
この申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から承認または却下の通知がなければ、
この申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとされ、申請の翌々月納付分からこの特例の適用があります。
例えば「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を3月に提出した場合の納期限は次の通りです。
3月分の源泉所得税 4月10日まで
4~6月分の源泉所得税 7月10日まで
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」はこちら
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/201601h268.pdf
3.給与の支給人数が10人以上になったら?
納期の特例を受けている源泉徴収義務者は、給与の支給人員が常時10人未満でなくなった場合には、
所轄税務署長に 「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」 を遅滞なく提出しなければなりません。
「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出した場合には、
その提出した日の属する納期の特例の期間内に源泉徴収した税額は、申請書の提出日の属する月の翌月10日までに納付し、
その後の各月に源泉徴収した税額は、原則通り翌月10日までに納付することとなります。
例えば「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」 を3月に提出した場合の納期限は次の通りです。
1~2月分の源泉所得税 4月10日まで (納期特例の納付書を使用します)
3月分の源泉所得税 4月10日まで (毎月納付用の納付書を使用します)
4月以降の源泉所得税 翌月10日まで
「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」はこちら
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/201601h271.pdf
4.納付を忘れてしまったら?
源泉所得税の納付が遅れた場合には、納付額に対して5%または10%の不納付加算税と
納付期限から実際に納付した日までの期間に応じた延滞税が課されます。
5.届け出を忘れたら?
給与の支給人数が10人以上になったにもかかわらずその届出をせず、年2回の納付を継続していた場合どうなるでしょう?
先に述べたように毎月納付として遡り、不納付加算税・延滞税が課せられてしまします。
給与の支給人員と源泉所得税の納付期限について、今一度確認されてはいかがでしょうか?
(文責:広島事務所 鵜城)
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