現在、北海道から東京、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、福岡そして沖縄に至る一都一道二府六県に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令中です。このうち弊社は、一都一道二府二県に拠点事務所を展開しているのですから、経営責任者としては感染予防対策に腐心するとともに、スタッフとその家族の健康状態に常に気を配らざるを得ない状況にあります。
そうした一経営者の不安と懸念を横目に、どうやら国際大運動会は開催されるようです。国民の多くが疑問の声を上げる中で開催を強行する意味がどこにあるのか、説得力のある説明を聞いたことはありません。かつて、日本は「戦(いくさ)はやってみなければ分からない」という全く根拠のない楽観論で太平洋戦争に突入し、国民に対する説明責任を放棄して大本営発表という情報操作で国民を欺き続けたことは記憶に新しいはずですが、その歴史が今また繰り返されようとしています。
それはともかく、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会々長も「今の状況で開催するというのは普通はないわけで、開催に伴う国内の感染への影響もある」と述べているとおり、国際大運動会強行開催の代償が感染拡大となることは避けられそうにありません。そうなると、飲食業や観光業をはじめ交通系など多くの企業は回復不能の大きな痛手を被ることになります。
過日公表された2021年版中小企業白書も「感染症流行により消費者の意識・行動は変化し、容易に元には戻らない」と指摘しています。同白書の編集は今年2月時点でのデータをベースにしていますから、国際大運動会開催強行に伴う感染拡大を視野に入れると「消費者の意識・行動を劇的に変化させ、もはや元に戻ることはない」と修正されるべきでしょう。さて、そうなると刀折れ矢尽きる企業が続出する事態は不可避ということになります。「あのとき止めておけば良かった」と後悔するより、「あのとき止めておいて良かった」と安堵する方がよほど良いと思うのですが…
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