1.二つの猶予制度と申請方法
猶予制度としては、「換価の猶予」と「納税の猶予」と二つあります。それぞれ要件が異なるため、ご自身・ご自身の会社が対象となるのかどうか、一度ご確認ください。
申請する場合は、各猶予制度の申請期限までに「猶予申請書」「財産収支状況書」を記載して、所轄の税務署に提出する必要があります。
※その他にも猶予を受けようとする金額や税目によって提出すべき書類があります。
2.「換価の猶予」の要件と効果
次のすべての要件を満たすことにより、この猶予制度を利用できます。
①一時の納税により、事業の継続・生活維持が困難となるおそれがあること
②納税について誠実な意思があること
③納期限から6か月以内に申請があること
④猶予を受けようとする国税以外に滞納がないこと
<注意>
・担保の提供が明らかに可能である場合を除いて担保は不要です。
・既に滞納がある場合や申請期限を過ぎた場合は、状況に応じて、税務署長の職権による猶予を検討します。
この制度を利用することにより、
・原則として1年間納税が猶予されます(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります)。
・猶予期間中の延滞税が軽減(通常:年8.8%→令和3年中:年1.0%)されます。
・財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。
(参考)国税庁HP
<https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm>
3.「納税の猶予」の要件と効果
次のすべての要件を満たすことにより、この猶予制度を利用できます。
①新型コロナウイルス感染症に関連するなどして、次のようなケースに該当すること
・新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した
・納税者ご本人又は生計を同じにするご家族が病気にかかった
・納税者の方が営む事業について、やむを得ず休廃業をした
・納税者の方が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた
②①により、一時の納税ができないこと
③申請があること
<注意>担保の提供が明らかに可能である場合を除いて担保は不要です。
この制度も、上記「換価の猶予」と同じ効果を得ることが出来ます。
(参考)国税庁HP
<https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm>
4.まとめ
上記二つの制度は、「納税できる資金があるが、事業継続・生活維持のためにその資金支出が決まっている場合」や、「黒字であるが要件を満たす場合」であっても、猶予を受けられることがあります。
(参考)「国税の納税の猶予制度FAQ」の問4および問5
<https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/pdf/0021001-141_05.pdf>
納税資金がない、納税により事業継続・生活維持に支障をきたす可能性がある方は、一度ご検討されてはいかがでしょうか。ただし、あくまで「猶予」であるため、税金が免除されたり、納めた税金が還付されることはありませんので、ご注意ください。
(文責:京都事務所 松原)
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