1.医療費控除の概要
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に病気やケガなどで自分や生計を一にする家族が治療を受け、一定額を超える医療費を支払った場合において、その医療費の額を基に計算された所得控除額(最高200万円まで)を所得から差し引けるものです。
医療費控除の申告の流れとして、まず集めた領収書が医療費控除の対象かどうか判断し、「医療費控除の明細書」に記入して医療費控除額を計算します。申告書を作成しましたら、確定申告書は所轄税務署に提出するか、電子申告(e-tax)にて申告して下さい。
■対象期間と申告期限
2021年の確定申告期間は、原則どおり2021年2月16日(火)~2021年3月15日(月)までとなっております。「還付申告」であれば、1月から5年間申告ができますので2020年分は、2021年の1月1日から2025年の12月末日まで5年間、提出することができます。
2.セルフメディケーション税制のご案内
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進及び疾病の予防として、予防接種や会社の定期健康診断を受診している等一定の取組を行っている方が、その年中に自分や生計を一にする家族に12,000円以上の対象医薬品を購入した場合に、所得控除(通常の医療費控除との選択適用)を受けることができる制度です。上限は8万8,000円までです。
対象医薬品は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、薬局やドラッグストア等で購入できる医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)とされており、厚生労働省のホームページや医薬品のパッケージ、レシート・領収書から確認することが出来ます。
10万円以上でようやく申請できる従来の医療費控除と違い、対象になる方も多いので、これまで医療費控除をしたことがなかった方も是非活用してみてはいかがでしょうか。
■参考:厚生労働省(セルフメディケーション税制について)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
3.新型コロナウイルス関連の医療費の注意点
令和2年分については、自粛要請によるオンライン診療やPCR検査費用等、イレギュラーな医療費もかかっていたかと思います。これらの新型コロナウイルス関連の医療費控除の適用についてご紹介したいと思います。
医療費控除適用となるには下記の2点がポイントとなりますので注意が必要です。
1 医師等による診療や治療のために支払った費用
2 治療や療養に必要な医薬品の購入費用(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)
■予防のためのマスク購入費用について
→上記の費用に該当しないため、【医療費控除対象外】となります。
■PCR検査費用について
・医師の判断によりPCR検査を受けた場合
→上記の費用に該当するため、【医療費控除の対象】となります。
・「自己の判断」によりPCR検査を受けた場合
→上記のいずれの費用にも該当しないため、【医療費控除対象外】となります。
※ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、その場合の検査費用については、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73-4参照)
■オンライン診療に係る諸費用について
①オンライン診療料
②オンラインシステム利用料
③処方された医薬品の購入費用
④処方された医薬品の配送料
→①②③医師等による診療や治療のために支払った費用、治療や療養に必要な医薬品の購入に該当するため【医療費控除の対象】となります。
→④いずれの費用にも該当しないため【医療費控除対象外】となります。
■参考:国税庁(新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm
4.まとめ
以上、医療費控除についての概要と令和2年分のポイントについて紹介させて頂きました。
令和2年分の確定申告につきましても、「医師等の判断によるものであるか?」「治療のために必要な費用か?」という点を参考に医療費控除をご活用いただければと思います。
(文責:京都事務所 松野)
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