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スタッフコラム

京都事務所
2020.12.14|お知らせ

所得税の基本的な考え方とは?なぜあんなに複雑になっているかご存じですか?

 12月になりいよいよ確定申告の時期が近づいてまいりましたね。所得税では1月1日から12月31日までの所得を計算するため、この時期に駆け込みでふるさと納税などをする人も多いのではないでしょうか。
 さて、税制の基本的な考え方に「課税の公平」というものがあります。これは、公平な税制を目指す時にどのように課税していけば公平性を保てるのかというものです。不公平な税制だったら誰も税金を納めようとは思わないでしょう。納得して税金を納めてもらうためには、公平でなければならないのです。そこで所得税では公平な課税を行うために、担税力に応じた課税という考え方をしています。担税力とは、税金を負担することができる能力のことをいい、3つの視点でこの担税力を考慮しています。詳しく見ていきましょう。
http://所得税の基本的な考え方

1.10種類の所得に分かれている理由

 一つ目の視点は「質」に着目しています。ここでいう「質」とは所得の稼ぎ方のことを言います。例えば、サラリーマンとして働いて年間500万円稼いだAさんと、不動産賃貸業をされていて年間500万円の家賃収入があるBさんがいたとします。同じ500万円の稼ぎですが、Aさんはサラリーマンとして働いて稼いだ所得であるのに対し、Bさんは不動産を貸し付けることで稼いだ所得であり、両者の性質は全く異なると言えます。この場合、両者同じ税金を徴収するのは公平といえるのでしょうか。同じ税金を徴収するのだからある意味では公平と言えるのかもしれません。しかし所得税では、同じ稼ぎでもその稼ぎ方である「質」によって、それぞれ課税することが公平だと考えられています。
 その結果所得税では、その稼ぎ方によって10種類の所得(利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得)に分かれているのです。

2.超過累進税率とは?

 二つ目の視点は「量」に着目しています。ここでいう「量」とは稼いだお金のことをいいます。所得税は超過累進税率という仕組みによって税金が計算されており、この仕組みを簡単に言うと、所得が多い人ほど税率が高くなるというものです。なぜこのような仕組みになっているのでしょうか。
 例えば、稼いだ「量」に関係なく一人一律5万円を課税したとしましょう。ある意味では公平だと言えるかもしれませんが、アルバイトをしている大学生のAさんと、年収3,000万円の会社社長であるBさんがいたとします。この場合同じように5万円を課税するのは平等と言えるのでしょうか。そこで所得税では所得や財産の多い人の方が税金を負担する能力が大きいと考えられ、また特定の人に財産が集まりすぎないようにするために、稼ぎが多い人には高い税率をかけて多くの税金を納めてもらおうという仕組みになっているのです。ちなみに所得税は5%~最大45%の税率が超過累進税率によって課されます。

3.所得控除って何?

 三つ目の視点は「個人の事情」に着目しています。例えば、独身のサラリーマンAさんがいたとしましょう。彼は稼いだお金を全部自分のために使うことができます。一方4人家族のサラリーマンBさんがいたとします。彼は稼いだお金を家族のために使わなければいけません。この場合同じように税金を課税することは公平な課税といえるのでしょうか。所得税では個人を課税対象にしている以上、一人一人に事情があるのだからその事情は考慮すべきだと考えられています。そこで個人の事情を考慮して公平な課税を行うために所得控除という制度ができました。
 所得控除とは、稼いだ所得から個人の事情により一定の金額を差し引いて所得税を計算する仕組みのことです。個人の事情とは、例えば病気がちなCさんは他の人より医療費が多くかかってしまうでしょう。またDさんは台風により家の屋根が壊れ、その修理費に多くのお金がかかってしまうでしょう。この場合CさんDさんは、同じ稼ぎをしている個人と比べて自由に使えるお金が少なくなると言えるのではないでしょうか。そこで、このような個人の事情を考慮して一定の要件を満たした人の税金の負担を少なくしてあげようというのが所得控除なのです。
 所得控除は損失や支出があった場合に控除できる物的控除と呼ばれるものと、本人や家族の状況等に応じて控除できる人的控除と呼ばれるものに分けることができます。ちなみに物的控除は全部で7種類(雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・寄付金控除)あり、人的控除は全部で8種類(障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・基礎控除)あります。

4.確定申告でお困りの方へ

 このように馴染みのある所得税ですが、実は非常に複雑になっており、知らないと損をする規定も数多くあります。もし確定申告でお困りのことがあれば、是非ひかり税理士法人にご相談下さい。 
                                            (文責:京都事務所 伊豆)

※当社では、顧問契約を締結しているお客様以外の個別の税務相談には対応いたしかねます。何卒ご了承ください。

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