1.どういったものが不正受給に該当するか
制度の趣旨に反し不正に受給すると「不正受給」ということになりますが、持続化給付金の公式ウェブサイトには「持続化給付金の不正受給は犯罪です!!」との大きな見出しとともに、不正受給防止の啓発リーフレットが掲示されています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/jizokuka-kyufukin_fusei.pdf?0917
リーフレットには、不正受給の例示として、
・事業を実施していないのにもかかわらず申請する
・各月の売上を偽って申請する
・売上減少の理由が新型コロナウイルスの影響によらないのに申請する
との記載があります。
上の2つはよいとして、3つ目の「売上減少の理由が新型コロナウイルスの影響によらないのに」という部分については、ドキっとされる方もおられるのではないでしょうか。
新型コロナウイルスの影響は多岐にわたるため、「コロナの影響によるものでない」と言い切ることが難しいケースも多いことは想像できますが、いずれにせよ因果関係をしっかりと説明できるようなものでないと不正と判断されます。
2.不正受給と判断された場合の処置
不正受給と判断された場合、受給額に年3%の延滞金を加えた合計額に、その2割の加算金を加えた金額を返還しなければなりません。
具体的には、例えば100万円を受給し、半年後に不正発覚・返還した場合、
(100万 + 100×3%×6か月÷12ヶ月) × 1.2 = 121.8万円
を返還しなければなりません。
さらには、申請者の屋号・雅号・氏名等が公表され、不正の内容が悪質であれば、刑事告発を受けることとなります。
3.「不正の勧誘」にも注意
経済産業省によると、不正受給により逮捕されたのは、10月5日時点で32人、総額は数千万円にのぼるとのことです。
不正が相次ぐ背景には、特に10代~20代の若者を中心に、SNSなどで友人・知人から「サラリーマンでも無職でも持続化給付金100万円が受け取れる」「自営していることにして申請すれば持続化給付金がもらえる」などといった勧誘を受けたというケースも多くみられ、なかには指南料や申請代行料を要求されたといったケースもみられます。
このような相談が全国の消費生活センターに相次ぎ、国民生活センターはそうした勧誘に応じないよう啓発をおこなっています。
4.自主的に返還すれば加算金等なし
不正受給の報道の増加に伴い、「誤って受給したので返還したい」といった問い合わせも増加しているとのことです。
このような事態を受け、経済産業省は10月6日、「中小企業庁が調査を始める前に返還すれば、延滞金・加算金を課さない」旨を明らかし、自主返還を呼びかけました。刑事罰については別途、警察が判断することになるとのことです。
持続化給付金の制度については、その緊急性もあり、通常の補助金等に比べ、手続きについては非常に簡便になっており、国としても制度開始当初から一定の不正が生じることは想定していたものと思われます。その分、不正の調査については、通常の補助金等よりも厳しい対応になるということも容易に想像できます。
まずは不正受給を行わないことが第一ですが、不正をしてしまった場合には、速やかに自主返還することが必要です。
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