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2025.04.07|CEOコラム

テレビの時代は終わった ~CEOコラム[もっと光を]vol.270

 先週3月31日に公表されたフジテレビの第三者委員会報告書ですが、273ページにも及ぶ大部となっています。1月23日に第三者委員会が設置されてから僅か2ヶ月強の限られた時間内でまとめ上げられた報告書としては、今後の同種の事案に対して範を垂れるものと評価できます。委員会自体は3名の弁護士で構成されていますが、他に23名の弁護士が補助者として参画したほか、デジタルフォレンジック専門業者や被害者保護の観点から公認心理師及び臨床心理士から助言を得るなど、短期決戦ならではの工夫も垣間見えます。

 

 報告書の冒頭で、株式会社フジテレビジョンを「CX」といい、株式会社フジ・メディア・ホールディングスを「FMH」と略称することが説明されていますが、「FMH」はそのままの頭文字なので良いとして、「CX」には違和感を持たれた読者も多いと思います。これは、フジテレビのコールサインが「JOCX」であることに由来します。ちなみに、NHKはJOAKです。余談ですが、日本航空のIATAコードは「JL」ですが、全日空は「NH」です。これは、同社の前身である「日本ヘリコプター輸送」に由来するものです。

 

 それはさておき、報告書の前段に驚くような話があります。「当委員会は、関係者や取引先の実名を記載した本調査報告書(実名版)を二部作成した。本来であれば、これを当社の取締役会に提出して取締役会メンバー全員に配付することになる。しかし、過去の報道等を見る限り、当社内の機密情報が社外に流出しているおそれがあるようにも感じられ、当委員会としては、取締役会メンバーから外部への情報流出も現実問題として懸念せざるを得なかった」というのです。どこの世界に自社の秘密を漏洩するような取締役がいるのかと驚くほかはありませんが、これがCXあるいはFMHのすべてを物語っているように思います。

 

 報告書では、性暴力があったことが認定されています。そのことも重要なマターですが、結語には「当社の救いは、ステークホルダーへの説明責任に向き合おうとしない経営陣に対して、敢然と反旗を翻した数多くの社員がいたことである」と述べられているように、CXあるいはFMHにおけるガバナンスが機能していなかったという衝撃的な事実に着目せざるを得ません。離れたスポンサーの多くが今後の推移を見守るとして態度を保留しているようですが、おそらく戻ることはないでしょう。その意味で、もはや「テレビの時代」は終わったというのが今回の本当の「結語」のように思います。
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