昨年4月に日本税理士会連合会が実施した税理士実態調査の結果が、このたび「第7回税理士実態調査報告書」としてまとめられ、先月末に同連合会のホームページで公表されました。前回の「第6回税理士実態調査報告書」の公表が2015年3月でしたから、10年ぶりに実態調査が実施されたことになります。
実は、この税理士実態調査はかつては監督官庁である国税庁が実施していましたが、税理士業界の独立性を高めるという観点から日本税理士会連合会に移管されたという経緯があります。そして、移管されて以降、ほぼ10年ごとに調査が実施されています。したがって、今回も2015年以来の調査結果が報告されているというわけです。
さて、今回の報告書は図表やグラフを含めて700ページを超える大部となっていますから、なかなか読み応えのある内容となっています。「概要」に加えて「開業税理士編」、「所属税理士編」、「社員税理士編」、「税理士法人編」と税理士の属性別に編集されていることもボリュームが嵩張る一因となっているのかもしれません。「開業税理士編」では個人で事務所を運営する税理士に関する実態が明らかにされているのですが、その中で一つのデータに目が釘付けになりました。
「後継者もしくは後継者候補となる税理士がいるか」という質問に対して、回答者24,017人中20,291人(84.5%)が「いない」と答えたのです。中小事業者の事業承継問題が喫緊の課題と言われ、その解決にあたって税理士が果たすべき役割は小さくないと言われながら、その税理士自身が自らの事業承継を考えていないのです。さらに、「いない」と答えた20,291人に今後の見通しを問うと、「自分の代で廃業する」と回答した者が8,942 人(44.1%)もいると聞いて、実は税理士の事業承継問題こそが大問題だと痛感した次第です。
補遺 日本税理士会連合会によると「税理士実態調査報告書は内部資料として作成されたものであり、無断で複写、複製(コピー)、転載、転用及び配布することを固く禁じます」とされていますので、本コラムでも直接URLを貼り付けることは控えますが、内容については、折に触れて紹介していきたいと思います。