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2025.03.17|CEOコラム

財務省解体だけで良いのかな? ~CEOコラム[もっと光を]vol.267

 厚生労働省が先月公表した「毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報」によると、事業所規模が30人未満の月額現金給与総額は348,182円で、対前年比2.9%増となって、33年ぶりの高い伸びを示しているとのことです。しかし、令和2年平均を100とした実質賃金指数は 99.4(対前年比0.2%減)と3年連続でマイナスとなっているようです。消費者物価指数が対前年比3.2%も上昇しているのですから、物価上昇に賃上げが追いついていないことは明らかです。

 

 こうした状況を国民はデータではなく、生活必需品である生鮮食品やコメなどの価格上昇を通じて肌感覚で理解しているのでしょう。そして、その怒りの矛先が財務省に向いているようで、霞が関の本省はもちろん、全国の財務局周辺で「財務省解体」を訴えるデモが行われているようです。当事者である財務大臣は、「食料品などの身の回りの物価が上昇し、賃金は上がっても実質賃金は上がっていないことが背景にある」などと、まるで他人事のようなコメントをしているのには驚くほかはありませんが…

 

 それはともかく、財務省解体を叫んだところで、財政や税制に関する意思決定は政治マターですから、その意味ではピントは外れていますが、デモ参加者にとっては、財務省こそが政治を悪しき方向に動かしている諸悪の根源と写っているのでしょう。政治家の能力が著しく劣化している昨今、財務官僚が「国を動かすのは自分たちだ」という強烈な自負心を抱いているのも事実ですから、デモ参加者の言い分にも一理はありそうですが、ここは少し冷静になる必要があります。

 

 冷静になって読み込んでおきたいデータがあります。解体を叫ばれている財務省が先月公表した「令和6年度の国民負担率の推移」によると、対国民所得比でみた国民負担率は45.1%とされています。一昨年に48.4%まで上昇し、日本は「五公五民」になったと揶揄されていましたが、昨年は定額減税の効果もあってか若干下がったようです。ただ、気をつけておきたいのは、「五公」のうち国税と地方税を合わせた租税負担が26.7%であるのに対して、社会保障負担が18.4%にも達していることです。財務省解体も結構ですが、厚生労働省解体のデモも必要ではないでしょうか(笑)

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