公認会計士法第2条では、「公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする」と定められています。したがって、この条文をそのまま読めば、国家資格である公認会計士のライセンスを持っていれば監査ができるはずです。運転免許を持っていればクルマの運転ができるというのと同じと考えてもらっても良いと思います。
もっとも、運転免許の場合は少々複雑な区分と種類があることはご承知の通りです。区分には「第一種」、「第二種」、「仮」の3つがありますし、種類には「大型」、「中型」、「準中型」、「普通」などがあります。一般的な組み合わせは「第一種」と「普通」で、文字通り普通車の運転は可能ですが、10トントラックや定員が11人以上のワンボックスカー(トヨタのハイエースコミューターなど)は運転できません。もちろん、乗客を乗せて走るタクシーの運転もNGです。
実は、公認会計士の資格にも運転免許と同じような「区分」が設けられています。2022年5月に導入された上場会社等監査人登録制度によって、上場会社の監査を行う監査法人や公認会計士は法律に基づいて「登録すること」が義務付けられ、その登録を受けるためには人的体制や品質管理体制の整備などにおいて一定の水準を満たすことが求められます。要は、監査法人や公認会計士だからといって誰でも上場会社の監査をして良いわけではなく、一定の条件を満たした者に限られるというわけです。
おかげさまで、ひかり監査法人はこの上場会社等監査人に登録されていますので、ご安心いただければ幸いですが、一方で登録を拒否された監査法人も存在します。いわば、登録試験に落っこちたというわけです。さて、そうなると、言葉は悪いですが「B級監査法人」あるいは「2級会計士」というレッテルを貼られたのも同然ですから、もはや上場会社の監査を継続することはできません。上場会社以外の監査業務でメシを食っていくことはできますが、ネットで「B級」や「2級」と晒された名誉の回復はなかなか難しいと思います。いや、これは自らに対する戒めとしてお話ししているのですが…(笑)