このコラムで何回か取り上げた話題ですので、やや食傷気味かもしれませんが、今年も先月31日に税理士の懲戒処分が官報に掲載されました。 懲戒処分を受けた税理士は22名にのぼり、税理士法人も2法人が処分されています。
https://kanpou.npb.go.jp/20250131/20250131h01396/20250131h013960011f.html
そして、懲戒理由の詳細については、国税庁のホームページに掲載されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/chokai/shobun/240401.htm
ご覧いただいて分かるとおり、懲戒理由の過半は「故意による不真正税務書類の作成」です。つまり、関与先の依頼に応じて真実と異なる申告をして脱税に加担したという税理士としてあるまじき理由に驚かれると思います。さらに、過去に税理士業務の停止処分を受けていたにもかかわらず、その停止期間中に税務業務を行ったという「懲りない連中」が少なくないことにも驚くほかはありません。免停中にクルマを運転してはいけないことなど常識だと思うのですが。
ところが、その上手を行く「懲りない連中」の存在には呆れるほかはありません。処分された税理士法人に「税理士法人スライベックス」があります。
http://www.thrivex.jp/office/(リンク不可)
処分理由は、無資格者が作成した税務書類に署名押印する、いわゆる「名義貸し」行為を行ったことによる1ヶ月の業務停止ですが、2人の社員税理士のうち1人が処分当日に税理士法人を脱退し、処分が明けると同時にしれっと税理士法人に復帰しているのです。つまり、形式を取り繕って処分期間中も業務は継続して行っていたことが容易に想像できます。
そして、この法人は6年前にも同様の理由で処分され、その時も同様の方法で処分を実質的に逃れていたのですから、「懲りない連中」とはこのことです。そして、この2人が国税OB税理士であることを知ると、OBとはいえ国税庁の身内に対する甘い処分は噴飯物と言わざるを得ません。懲戒とは不正あるいは不当な行為に対して制裁を課すことですから、そこを二度にわたって甘くしてしまうと、もはや懲戒の意味がなくなると考えるのは筆者だけではありますまい。
補遺
「税理士法人スライベックス」のホームページですが、2月9日までは閲覧できたのですが、今日からリンク切れになっています。
あまりのタイミングの良さに、これまた驚くほかはありません(笑)