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2024.12.30|CEOコラム

日産凋落の原因  ~CEOコラム[もっと光を]vol.255

 C110型スカイライン、810型ブルーバード、Y31型グロリア、GC22型バネットラルゴ。これらは、かつて筆者が乗っていた日産車たちです。年代的には1975年から1990年あたりですから、今から半世紀~35年ほども前の話になります。当時、「技術の日産」と言われ、L型直列6気筒エンジンや吸収合併したプリンス自動車から引き継いだG型4気筒エンジンなどは市場で高い評価を得ていました。

 

 これに対してトヨタ自動車は、「品質のトヨタ」あるいは「生産のトヨタ」と言われ、性能を追求するよりも壊れないクルマを作ること、カンバン方式と称される生産方法によって高品質なクルマをタイムリーに市場に供給することを目指していました。工業製品に品質が求められることは言うまでもありませんが、若かりし頃の筆者にとっては「走るクルマ」や「格好いいクルマ」の代名詞は日産車だったのです。

 

 しかし、かつて市場を二分していたはずの両社の勢いは年を追うごとに差が開き、劣勢に陥った日産はもはやトヨタのライバルですらなくなりました。2024年1~11月の乗用車国内生産台数は、トヨタの280万台に対して日産は52万台に留まっていて、マツダやスバルの後塵を拝しています。ホンダは軽自動車を加えると60万台に迫り、スズキも軽自動車のシェアが大きく70万台を超えていますから、後ろを振り向いても三菱しかいないというのが日産の現状なのです。

 

 この日産凋落の原因の一つは、将来の飯のタネになる研究開発投資を長年にわたって怠ってきたことにあると思っています。直近期(2024年3月期)の有価証券報告書によると、日産の研究開発費は6千億円でトヨタの半分にも及びません。生産台数あるいは売上高から考えれば、それでも精一杯なのかもしれませんが、競争力の差は歴然です。クルマが売れないから十分な開発投資ができない、開発投資ができないから売れるクルマが作れない。文字通り、負のスパイラルに陥ってしまったのです。この窮境を打開するための選択肢としてホンダ(本田技研工業)との経営統合が議論されるのも頷けるところです。

 

 補遺 筆者は1990年以降、欧州車を乗り継ぎ、2008年にR35型GT-Rに食指を動かしましたが、ディーラーの居丈高な態度に嫌気がさし、その後日産車に乗ることはなく今日に至っています。そして、今年からは南海トラフ大地震に備えて「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」に乗っています。

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