今年はじめに東証スタンダード上場のプロルート丸光が会社更生手続き開始によって上場廃止になりました。それから約1年、上場会社にとって平和な時間が流れていたようですが、先月末になって東証グロース上場の日本電解が民事再生手続開始の申立てを行ったことから今月末付けで上場廃止となることが確定しました。
日本電解のプレスリリースによりますと、電気自動車市場の拡大に伴って電解銅箔の製造及び販売が順調に推移してきたものの、市場の縮小や競争の激化によって資金繰りに窮し、事業継続に著しい支障が生じることが確実な状況となったため、事業価値の毀損を最小限に抑えて実効的な再建を図るべく民事再生手続開始の申立をした旨が述べられています。2021年6月に当時の東証マザーズに上場してから僅か3年半での破綻ですから、文字通り線香花火のような上場会社だったわけです。
「これからは電気自動車の時代だ」と猫も杓子も同じ方向に走り出す中、付和雷同してリスクを顧みることなく分不相応な投資に走った挙げ句の破綻ですから、責められるべきは経営者なのですが、私たちはこれを反面教師として学ばなければなりません。電気自動車が時代の寵児ともてはやされる一方で、航続距離や充電時間の問題に加えて重量の嵩むバッテリーなど技術的な課題も山積しているのですから、しばらくは内燃機関との共存というシナリオが有力であることも想定するなど慎重な経営判断が必要だったことは言うまでもありません。
今年も残り少なくなる中で、上場企業をめぐる不景気なニュースも続々と報じられています。東証プライム上場の繊維メーカー「ユニチカ」は、11月28日付で地域経済活性化支援機構に事業再生計画を提出し、金融機関に対して約430億円の債権放棄を要請したことがプレスリリースで明らかにされています。来年8月をめどに祖業である衣料繊維事業から撤退し、今後はフィルムや樹脂などの高分子事業に注力して高付加価値品の開発と拡販を目指すとのことです。日本紡績と日本レイヨンが合併し、ユナイテッド日本(株)を略して「ユニチカ」となった話しは有名ですが、紡績ともレイヨンとも縁のない会社になってしまうのは少し残念です。