Menu

Column

スタッフコラム

全拠点
2024.10.21|CEOコラム

支離滅裂の経済政策 ~CEOコラム[もっと光を]vol.245

 2年で2%の物価上昇率を目標にデフレ脱却を意図した政策をアベノミクスとするならば、それは失敗であったと考える経済学者が少なくありません。新型コロナ感染症に翻弄され、ロシアのウクライナ侵攻等に遭遇したことは想定外とはいえ、原油や穀物価格の高騰あるいは日米金利差による円安によってデフレ脱却どころかインフレになってしまったのですから、結果としてアベノミクスは失敗であったことは事実です。

 

 我が国の経済が既にインフレ状態であることは日銀総裁が「消費者物価は去年までと同じような右上がりの動きが続くと予想している。そういう意味でデフレではなく、インフレの状態にあると考えている」と自認しているところです。そうであれば、日銀はマイナス金利政策を含む大規模な金融緩和策を転換しなければならないはずですが、マイナス金利をゼロ金利にはしたものの、一歩踏み込んだ金融引き締めには及び腰と言わざるを得ません。

 

 なにしろ1,000兆円を超える普通国債残高があることから、金融緩和を止めれば国債費つまり利払いが膨大な金額になり、日銀が保有する565兆円もの国債が巨額の「含み損」を抱えることになります。したがって、金融引き締めには躊躇せざるを得ず、その意味で日銀の金融政策は既に柔軟性を失っているといえます。さらに、アベノミクスを推進してきた「リフレ派」といわれる経済学者達は、大規模金融緩和によって物価上昇期待を醸成して消費を増加させると主張していましたが、今や円安とインフレによる物価高によって個人消費は減退しているのですから、彼らの論理はもはや破綻しています。

 

 さらに、自由民主党の新総裁は、かねてから「アベノミクスの是非を検証すべき」と主張していたにもかかわらず、首相に就任するや否や、日銀の利上げに慎重な姿勢を見せ、アベノミクス批判論を封印して過日の代表質問では擁護する答弁すら行ったのです。インフレにもかかわらず、デフレ脱却策であるアベノミクスを継続するというのですから、もはや経済政策としては支離滅裂というほかはありません。有権者はこうした身近な不合理を理解した上で、来る27日の投票行動を決めてもらいたいと願っています。

メールマガジン
登録
お見積り
ご相談