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2024.10.15|CEOコラム

人はなぜ権力を目指すのか-再論 ~CEOコラム[もっと光を]vol.244

 去る8月19日の本コラムvol.236で「人はなぜ権力を目指すのか」というタイトルで筆を執りました。その内容は、1997年12月10日付の日本経済新聞のコラムである「春秋」からヒントを得たものです。今から27年も前の新聞のコラムを引用するなど昔話に過ぎるのですが、当時のコラム子が語る言葉は今でも生きているどころか、その言葉をそっくり贈りたくなる人物が再び登場するに至っては、意味のある言葉は時が経過しても決して色褪せないことを痛感させられます。

 

 「人はなぜ権力を目指すのだろう。理想を実現するためか、その捨て方を習得するためなのか」で始まるコラムの内容は、前日の12月9日に京都で開催された地球温暖化対策のための国際会議における米国のゴア副大統領の言動を批判するものでした。彼は、若くして環境問題に関心を持ち、下院議員時代に地球温暖化に関する最初の公聴会を開くなど環境保全に関して高い意識を持ち、「Earth in the Balance」と題する著作もあることから、彼が副大統領に就任したことで米国の地球環境政策は大きく変わると期待されました。しかし、京都会議における彼の演説には地球環境問題にかけたかつての情熱はなかったのです。

 

 コラム子は彼の変節を「クリントン大統領の後継者を目指すゴア氏だが、ここで温暖化対策を嫌う産業界などを敵に回したくないということか」と批判しました。そして、「最大の温暖化ガス排出国である米国が変わらないと地球の未来は暗い。運良く大統領に選ばれたら、ゴア氏はしまい込んでいた理想にハタキをかけるのだろうか」と結びました。しかし、彼が大統領になることはありませんでしたから、ハタキのかけようはなかったのですが…

 

 さて、いよいよ総選挙です。首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短とのことです。総裁選挙中には早期解散に否定的な言動を繰り返していたにもかかわらず、総裁そして首相に就任するやいなや戦後最短と言われる解散・総選挙に打って出たのですから、手のひらを返すとはこのことでしょう。そして、所信表明演説でも彼は外交や国防に関する持論を封印したままです。今回の総選挙では、理想の捨て方を習得するために権力の座に就いた人物が我が国のリーダーとして相応しいのかどうかが問われているといってもよいのではないでしょうか。

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