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2024.09.17|CEOコラム

会計は何様になったつもりなのか ~CEOコラム[もっと光を]vol.240

 先週13日、企業会計基準委員会は2007年3月に制定された企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」を改正し、新たに企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」とすることを発表しました。従来の会計処理を大きく変更することから、昨年5月に公開草案を公表してコメントを募ったところ、予想通り経済界をはじめ各界から多くの意見が寄せられましたが、若干の修正が加えられたものの大筋では公開草案に沿った形での基準の公表となったようです。

 

 従来、リース取引に関する借り手の会計処理は、いわゆる「ファイナンスリース」については、資産と負債を合わせて認識することが求められる一方、「オペレーティングリース」については支払ったリース料を費用計上することで良いとされてきました。ところが、新たなリース会計基準では、原則としてすべてのリース取引についてオンバランス、つまり資産と負債の両建て計上が強制されることになります。

 

 その影響が大きいのが、いわゆる不動産の賃貸借取引です。従来、オペレーティングリース取引とされていた不動産賃貸借取引についても、賃借不動産を「使用権資産」として貸借対照表に計上しなければならくなったのです。他人に所有権が帰属する不動産を自社の貸借対照表に計上するなど驚くほかはありませんが、契約期間内に支払われる賃借料総額から消費税と利息相当額を控除した残額が「リース債務」として負債に計上され、それに見合う資産として「使用権資産」なるものが計上されるというわけです。

 

 新たなリース会計基準の適用が求められるのは上場会社をはじめ会社法上の大会社とされています。また、適用年度についても2027年4月1日以後に開始する事業年度からということですので、中小企業にとっての影響は限定的ともいえますが、会計の世界は思いも寄らない方向に進みつつあるというのが実感です。将来の損失など神のみぞ知る事柄であるにもかかわらず神を差し置いて予測せよとか、他人様の不動産であるにもかかわらず知らん顔をして自らの資産として貸借対照表に計上せよとか、いつの間にか会計も偉くなったもんだと感心するほかはありません。

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