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2024.08.26|CEOコラム

事実は小説よりも奇なり ~CEOコラム[もっと光を]vol.237

 実際に起こる出来事はフィクションである小説よりも複雑で予想を超えることも少なくないことから、「事実は小説よりも奇なり」ともいわれます。むしろ、小説のほうがリアリティに配慮して非現実的な作り話然となることを避ける傾向があるとすれば、確かに「事実は小説よりも奇なり」なのかもしれません。

 

 この言葉の由来を調べると、出所は英国の詩人バイロンの未完の風刺詩「ドン・ジュアン」の一節だそうです。原文は「This is strange, but true. For truth is always strange.Stranger than fiction」で、直訳すれば「これは奇妙だ、しかし事実である。なぜなら、事実は常に奇妙だからだ。作り話よりも奇妙である」と言ったところでしょうか。

 

 ところで、現実社会の中で起こる様々な出来事の縮図が裁判例だと思います。そこにはフィクションは一切なく、見えてくるものは世相であり人間模様だとも言えます。例えば、裁判所の裁判例検索サイトで裁判年月日を「令和6年6月21日」で期日指定し、裁判所名を「和歌山地方裁判所」で検索すると「令和2(ワ)161 遺言無効確認請求事件」の判決文がヒットします。かつて77歳の男性が55歳も年下の女性と結婚した後に約15億円の財産を残して薬物中毒で急死するという事件がありましたが、その彼が生前に全財産を地元自治体に遺贈するとした遺言書の無効確認を求めた裁判の判決文です。

 

 主文にあるとおり、裁判所は請求を棄却しましたが、これを単なる遺言書の真贋をめぐる親族間の争いと読んでしまうと安物の小説になってしまいます。この判決に納得できない兄弟姉妹が控訴したことは言うまでもありませんが、なぜ兄弟姉妹は遺言書の無効確認に執着するのでしょうか。それは、兄弟姉妹には遺留分が認められていないからです。つまり、兄弟姉妹にとっては全財産を遺贈するという遺言書の存在はとても不都合なのです。亡き後、若き妻と実の兄弟姉妹の愛憎と金銭欲に翻弄される77年の生涯は「良き人生」だったのでしょうか…

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