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2024.07.29|CEOコラム

時間の余裕は仕事の余裕ではない ~CEOコラム[もっと光を]vol.233

 ちょうど一週間前の7月22日、愛知県内で東海道新幹線の保線用車両が衝突事故を起こして脱線し、浜松-名古屋間で終日営業運転を取りやめたため、およそ25万人の利用者が迷惑を被ったとのことです。日中の営業列車の運行に支障がないように夜間に保線作業を行っている車両が事故を起こして営業列車の足を終日にわたって止めたのですから、洒落になりません。

 

 そもそも、新幹線は始発駅を午前6時以前に発車することはなく、終着駅には日付が変わる前に必ず到着するという「不文律」で運行されており、この空白の「6時間」は設備保守のために不可欠だというわけです。しかし、都市部の在来線の始発が4時台で終電が日付が変わっても走っていることや東海道本線では夜行の寝台特急や貨物列車が頻繁に往来していることを考えると新幹線には相当余裕のある保守時間が確保されています。かつては、夜行の新幹線や新幹線を利用した貨物列車の運行なども計画されましたが、全てこの「保守時間の確保」という大義名分のために実現しませんでした。

 

 そのため、東京で仕事を終えて一杯飲みながらゆっくり食事をしようと思っても、新大阪行最終の「のぞみ」が出発する21:24までの束の間の時間を慌ただしく過ごすことになります。せめて、22:00ぐらいまではと思っても、それだと新大阪着が午前0時を回ってしまうので御法度というわけです。こうした利便性が犠牲にされるのも「安全確保のため」という錦の御旗のもとでは受忍せざるを得ないのですが、安全確保のための道具が往来の途絶の原因になったとあっては噴飯物です。

 

 時間的な余裕のあることが必ずしも良い仕事には繋がらない、これは私たちの日頃の業務の中でも経験することです。余裕のあるスケジュールで原稿依頼を引き受けても、暢気に構えてしまって、結局〆切間際に慌てるといったことを幾度となく経験しました(笑)。むしろ、あと1週間しかないと切羽詰まったスケジュールが入ったりすると、一意専心・一心不乱に取り組んで、案外良い仕事ができたりします。新幹線の運行事業者も他の交通インフラではあり得ない保線時間を与えられているのですから、時間の余裕と仕事の余裕を勘違いすることなく事故の再発防止に取り組んでもらいたいものです。

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