今年も暑い夏になりそうです。梅雨も明けない7月上旬で既に40度超えを観測する地域があるなど、先が思いやられる状況です。今から約半世紀前、炎天下にもかかわらずエアコンなどあるはずもない某大学の階段教室でひたすら汗を拭いながら受験をしていた日を懐かしく思い出す一方で、それでも当時は何とか凌げる暑さであったと振り返っています。そもそも、過酷な条件下で筆記試験をする理由として「体力試験を兼ねている」という説明がまことしやかにされていた時代です。
そのような都市伝説も過去のものとなり、最近の酷暑の中ではエアコンなしの試験会場など論外でしょう。熱中症とやらで倒れる受験生が相次いだのでは試験どころではなくなってしまいます。というか、この半世紀の間にどこの大学の大教室であってもエアコンが完備され、受験生達は恵まれた環境下で試験問題に取り組んでいます。中には「エアコンの効き過ぎ対策に上着を用意している」といったコメントもあり、彼らに「流れる汗で答案用紙が肘にひっついて離れない」なんて経験談を語ったところで何の説得力も持たないようです。
さて、一時期、税理士試験の受験者数が減少傾向にあることが業界として問題視されていました。データを繙くと2013年の受験者数が45千人強だったのが、その後漸減し2020年には26千人になりました。7年間で約4割の受験生が消失したというわけです。ところが、その後急回復し、先日国税庁が発表した2024年の受験申込者数は44千人になったとのことです。その理由についてはコロナ禍をはじめ様々な要因が考えられますが、資格ブームの再来という説明もされているようです。
確かに、資格はないよりあった方が良いのでしょう。しかし、資格を取ったからといってバラ色の人生が待っているわけではありません。ましてや、DXやAIによって旧来の税務会計業務は急速に浸食されていますから、未来は決して明るくありません。弊社も全体の売上に占める税務会計業務のウェイトは3/4程になりました。今後はさらにそのウェイトを下げていく必要があると考えています。汗にまみれて必死で書いた答案、それは間違いなく体力試験であったと思っています。効き過ぎたエアコンに上着を羽織って書いている答案とは違います。明るくない未来に生き残りを賭けて戦うには、やはり体力、それも「頭脳の体力」が必要であると思っています。