小屋の天井裏、階段下収納、蔵に置かれた木箱、そして銀行の貸金庫…。一体何の話かと不思議に思われるかもしれませんが、これらは脱税によって収得した不正資金が隠匿されていた場所の具体例です。小屋の天井裏を査察が捜索した際の写真が提供されていましたので、ご参考までにご覧に入れます。
先週6月21日、国税庁は令和5年度の査察の概要を公表しました。それによりますと、査察の着手件数は154件(前年度145件)で、事案の処理件数は151件(同139件)であったことが明らかにされています。このうち検察庁に告発した事案が101件で、その脱税総額は89億円とされています。1件当たりの脱税額にしますと88百万円で、告発率は66.9%になっているようです。
査察事案についても、いわゆる「狙いどころ」があって、消費税、無申告、国際の3事案が重点ターゲットにされた結果、それぞれ、27件、16件、23件を告発したとのことです。消費税事案では、仕入税額控除や輸出免税制度を悪用した不正還付事案が16件告発されています。無申告事案では、アフィリエイト事業による収入を除外したり、タトゥースタジオを経営しているにもかかわらず申告をしていなかった事案などが告発対象となったようです。また、海外に不正資金を隠していた国際事案など23件も告発されています。
告発されれば当然に裁判という流れになるわけですが、令和5年度中の一審判決83件では全てに有罪判決が言い渡され、そのうち9人に実刑判決が出されました。実刑判決のうち最も重いものは、査察事件と他の犯罪(詐欺、業務上横領)が併合されたもので懲役6年であったとのことです。6年のムショ暮らしと88百万円を比較して、コスパが良いとは決して思えませんし、いくら隠匿場所を工夫したところで、不正資金は表に出せませんから、使い勝手も悪いと言うことを知るべきです。突然、3~4千万もする高級車を買ったとか、歓楽街で豪遊しているなんて噂が立つと、歩くときに後ろに気をつけておいた方が良いと思います(笑)