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2024.06.10|CEOコラム

他人が作った法律に関心はない? ~CEOコラム[もっと光を]vol.226

 財務省は「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」をとりまとめて、現在開会中の第 213回国会に提出しました。この報告書は「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」(以下、「透明化法」と言います)に基づいて作成されていますが、同法の第1条には「この法律は、租税特別措置に関し、適用の実態を把握するための調査及びその結果の国会への報告等の措置を定めることにより、適用の状況の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進し、もって国民が納得できる公平で透明性の高い税制の確立に寄与することを目的とする」とあります。

 

 ご承知の通り、現在「特別措置」という名の下に各種の税の減免が行われていますが、その中には適用実績の把握や効果の検証が必ずしも十分とは言えないものが少なからず存在します。そこで、これらの特別措置の適用実態を明らかにするとともに、その効果を検証できる仕組みを構築するために2010(平成22)年度税制改正の一部として、時の民主党政権によって制定されたというのが、透明化法の生い立ちです。

 

 さて、その報告書の内容ですが、法人税に関連して多くの納税者に利用されているのが「中小企業者等の法人税率の特例」で 1,068千社が適用しています。また、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を635千社が、「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」を215千社が利用するなど、政策減税としての特別措置の効果はそれなりに発揮されていることがうかがえます。

 

 他方、全国でただ1社しか利用していないという特別措置もあります。例えば、「海外投資等損失準備金」です。名称からは一般性があるように思えますが、投資対象が海外での探鉱開発に関する事業に限られますから、推して知るべしです。あるいは、ただの1社すら利用していないという特別措置が「国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却」のほか十指に余る状況です。誰も使いもしない特別措置について、せっせと法案作りをするというのもムダな話しですから、その見直しをしようというのが透明化法の趣旨であったはずですが、他所の政党の肝煎りで作った法律など我が党は知らないと言わんばかりの現政権与党の対応には残念としか言いようがありません。

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