ここ一週間を振り返りますと、脱税に関するニュースが複数報じられていました。たとえば、新潟県のブリーダー業の男性が所得税約6千万円を脱税して起訴されたとか、消費税1億円を脱税した疑いで韓国籍の会社役員が告発されたといったニュースが流れています。後者に至っては昨年3月末の話しだそうですから、「なぜ今なの?」という疑問も拭えません。
実は、これらのニュースは確定申告の時期を狙って国税当局がマスコミにリークしているものです。つまり、「脱税したらタダでは済まないから、君たち気をつけろよ」と半ば恫喝して適正申告を促しているのです。もっとも、脱税とはいえ個別の課税事案については国税当局にも守秘義務があります。事実、国会で政治家に対する税務調査の有無を問われても、国税当局は「個別の事案についての回答は差し控える」との答弁に終始しています。それにもかかわらず、脱税のニュースに関しては、その牽制効果を狙ってわざとリークしているのです。
ところが、今年は少々様子が異なっているようです。派閥などの政治団体が政治資金パーティーを開いて収入を得ても収益事業にはあたらないため法人税の課税対象にはなりませんが、その収入が議員に還流された場合は受け取った側の「雑所得」として課税対象になることは当然の話です。ですから、そこをちゃんと税務調査しているのかと国会で追及されているのですが、国税当局は守秘義務を盾に煮え切らない答弁に終始するので納税者の反発を買っているというわけです。
あるいは、こちらのポスターも物議を醸しています。先週の衆院予算委員会では野党の議員が、このポスターを示して「国税庁は裏金議員の中の脱税者を見つけてください。国民は国税庁に期待していると思います」とエールを送っていましたが、皮肉たっぷりと言ったところでしょうか。もし期待できないのであれば、ポスターは「脱税は、犯罪。ただし、自民党議員は除く」と刷り直した方が良いと思うのは筆者だけではないと思います(笑)
追記 国税当局はこちらの資料を政治家等に配布して適正申告に努めるよう「ご案内」をしているとのことですが、配布するだけでは意味がありません。相応の姿勢を示してこそ牽制効果があると言うべきでしょう。