中学生の頃からカメラを弄っていまして、最近もミラーレスカメラの最新型上位機種に食指を伸ばしたりしているのですが、カメラには当然のことながら「レンズ」が必要です。もちろん、カメラメーカーが純正レンズを豊富にラインナップしていますから、それを選べば済む話しとはいえ、ちょっと「レンズおたく」になったりしますと、好みのズーム比やコストパフォーマンスなどを考慮して純正品以外のサードパーティー製品を選択することになります。
このサードパーティー製品のひとつに「タムロン」というブランドがあり、ニコンやキャノン、ソニーなどの各社のカメラに対応するマウントが用意されていることから、一定数のユーザーは存在していると思われます。かくいう筆者も35ミリ換算のフルサイズで望遠ズーム比の割にサイズ(長さや重量)がコンパクトなものを使っているのですが、このタムロン社(東証プライム上場会社)からとんでもない報告書が提出されました。
なにしろ過去二代の社長が愛人との飲食費や旅費などの私的経費1億6千万円を会社に負担させていた疑いがあるとのことで、会社は特別調査委員会を設置したのですが、先月その結果報告がプレスリリースされました。公表された報告書の内容にザッと目を通したのですが、いやしくも上場会社の社長たる者の行為として恥ずかしいと言うほかはありません。「恥を知れ」とはまさにこのことです。その一部を紹介しますと、「社長業の重圧によるストレスを解消するためには、単独で飲みに行く、カラオケに行くなどしてストレスを発散する必要があり、そのための単独飲食費や同伴飲食費は会社の必要経費であるなどと正当化した」、「自分の懐が痛まないが故にホステスにねだられるままにシャンパン・ワインを注文して、その場を楽しんでいたのであって、そこにはタムロンの金は自己の金ではなく、上場企業として不特定の株主から預かっている大切な他人の金であるという考えは全く見られない」など厳しい言葉が並んでいます。
そして、報告書は続けます。「役員であれ従業員であれ、およそ仕事というものは大なり小なりストレスを伴うものであり、そのストレスの発散は個々人の費用で賄うべきものであって、社長だから会社経費にできるというに及んでは開いた口が塞がらない」、「況や、社長退任後の後継社長による会社の経営に口出ししないことを我慢することにより生ずるストレスを発散する必要を理由とするなど呆れ果てて言葉を失う」と強い口調で非難し、「二代続けてモラルを欠いた社長が登場したことは極めて遺憾である」とまで言い切っているに至っては、もはやタムロンに未来はありません。報告書を読み終えて、手許にあるタムロンレンズを廃棄し、二度と同社の製品は購入しないことを誓ったのでした。