昨年夏に出版社から旧著「五訂版 最新!会社清算の実務70問70答」の改訂依頼があり、執筆者一同、鋭意改訂作業に取り組んでいたところ、装いも新たに「新訂 会社清算の実務Q&A」として完成しました。改訂の企画から執筆、上梓に至るまで1年越しの作業にはなりましたが、無事に書店の店頭に並ぶことに安堵しています(Amazonでも予約受付中となっています)。
2020年に上梓した旧著も2009年の初版から五訂を重ね、14年余の間に1万冊を超える販売を達成したわけですから、商業出版としては一応成功したといえます。タイトルからは決して量販が見込まれる書籍ではありませんが、市場のコンスタントなニーズにマッチしたのが幸いだったと言っても良いのかもしれません。五訂版も早々に在庫切れとなり、出版社サイドとしても新たな改訂版の発刊は喫緊の課題となっていたことは想像に難くありません。
そこで、今回の改訂では旧著を見直し、新たな試みにもチャレンジしました。清算実務の全体像を把握できるように「タイムライン」を明示したことに加えて、各種の手続きに漏れが生じないよう「チェックリスト」を登載したことは、文字通り「実務」に配慮したものと自負しています。もちろん、この3年間の法律改正や税制改正などを織り込んだことは言うまでもありません。その結果、六訂版とはせずに改めて「新訂」と銘打ったところです。
今回の改訂に際しては、読者諸兄から頂戴したご意見にも耳を傾け、参考にさせていただきました。本書の章立てが法律・会計・税務・労務といった執筆を担当した専門家の分野ごとに区分けされている点について、「読者としては分野別よりも何をいつまでにしなければならないのかが知りたい」というご指摘には頷くほかはありませんでした。このご意見が今回の改訂の原動力になったといっても過言ではありません。よく「商品開発のヒントは市場に聞け」と言われますが、これは書籍の出版・改訂についても全く同じであることを再確認した次第です。