国税庁は毎年「国税庁レポート」を公表しています。同レポートの冒頭の「納税者の皆様へ」には、「統計資料のほか、図や写真などを交えながら、納税者の皆様に国税庁の1年間の活動やトピックスを分かりやすくお知らせしています。国税庁レポートが税務行政に対する皆様の御理解を深める一助になれば幸いです」とあります。
この国税庁レポートの2023年版の目次に目を通していて、「Ⅰ 国税庁について」という箇所の項目立てが今年から変わっていることに気付きました。2022年版までは「1 国税庁の組織理念、2 税務行政の運営の考え方、3 国税組織の概要」の3項目から構成されていましたが、2023年版では新たに「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」が加わり、合わせて4項目になっているのです。
これは国税庁にとってもDXに対する取り組みが喫緊の課題であることを意味しています。一昨年6月に公表された「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0」も「2.0」から「2023」にバージョンアップされ、従前の「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化等」に、新たに「事業者のデジタル化促進」が加えられました。来月1日からのインボイス制度の開始に合わせて消費税の納税者である事業者のDXに対する取り組みにも注目せざるをえないということなのでしょう。
こうして税務行政に係わる多様な利害関係者のDXを推進する先に見えてくるものを予想する中で、一つ有力な説は「将来は税務当局が必要とする外部データを収集し、内部データも活用して個々の納税者に関する課税情報を把握・管理する」と予測するものです。さて、そうなれば、現在の自主申告制度に代えて、国税庁のロボットが「アナタノ2050ネンブンノ ショトクゼイハ ××エンニ ナリマシタ」、「トウロクサレテイル ギンコウコウザカラ ×ガツ×ニチニ ヒキオトシマス」、「フフクガアレバ、ワタシアテニ ドウゾ」なんてメッセージをウェアラブル端末に送ってくるのでしょうね。もはや、申告代理業など成り立たないことは言うまでもありません。