かの社長(既に辞任したとのことですので、正しくは前社長)は先日の記者会見で「6月26日に特別調査委員会の報告書で知った。耳を疑い、愕然(がくぜん)とした」と答えました。文書を読んでの感想であれば「耳を疑う」のではなく「目を疑う」のが正しい表現ですから、日本語も正しく使えない低能の経営者であることを図らずも露呈した記者会見でした。
その特別調査委員会の報告書に「耳」ではなく「目」を通しましたが、読み進むにつれて、まさに「目を疑う」事実が次から次へと明らかにされています。事実は小説よりも奇なりといいますが、下手な小説家では思いもつかない保険金詐取の様々な手口には呆れるほかはありません。その手口の詳細については既に新聞等で報じられているので、ここで屋上屋を重ねることはしませんが、それ以上に会社法違反も甚だしいことに驚きました。
報告書では、「当社は会社法上の大会社であり取締役会設置会社であるが、(中略)会社法上の要件を満たす取締役会は開催されていなかった。したがって、当社には取締役会議事録は存在しない」と指摘されています。そして、会社法は「使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制の整備」を求めていますが、業務執行機関である取締役会が開催されていないのですから体制を整備するも何もあったものではありません。あったのは「環境整備」という名の雑草引き、ではなかった除草剤撒きだったというのは悪い冗談です(笑)
そして、みなさん既にお気付きかもしれませんが、会社法上の大会社であれば会計監査人が選任されていなければなりません。相次ぐ会社法違反で、これも選任義務を満たしていないのではないかと思って登記情報を調べてみたところ、「ひびき監査法人」が選任されていました。実は、この監査法人は金融庁から業務改善命令を受けているという曰く付きの監査法人です。監査される会社が会社なら、監査する監査法人も監査法人でお互いに低レベルだというのが、今回の「オチ」です(笑)