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2023.06.26|CEOコラム

「会社は株主のもの」であることの再確認 ~CEOコラム[もっと光を]vol.176

 「物言う株主」は、「アクティビスト」とも呼ばれ、株主としての権利を積極的に行使して意思表示を行い、その影響力を通じて会社に変革を迫る株主のことをいいます。一部の投資家ないしはそのグループが投資先の企業価値を向上させるために、経営陣に対して時には厳しい提言等を行い、経営改革を能動的に働きかけるといった動きが最近注目されています。

 

 「会社は誰のものか」という古くて新しい問いに対して、「会社は社会の公器であり、株主だけでなく取引先や従業員などあらゆる利害関係者の共有物である」と説明されることがあります。そのような情緒的な説明も分からないではありませんが、法律的には「会社は株主のもの」であって、それ以上でもそれ以下でもありません。株主は会社を売ることも買うこともできますが、取引先や従業員には決してできないことですから答えは明らかです。

 

 ところで、会社の所有者である株主が取締役つまり経営陣に対して真っ向から挑んだ会社が京都にあります。株主は「経営陣は有言不実行で株価が低迷している」、「経営陣は株主を軽視して建設的な対話を行う姿勢に欠けている」と主張し、経営陣は「対案なき批判では企業価値の向上に繋がらない」、「株主の主張に首尾一貫性がない」と反論していますが、株主の次の一言が全てを物語っているのではないでしょうか。つまり、「このままでは株主価値が毀損する懸念を払拭できないことから、新たな取締役候補7名を選任すること」。

 

 さて、過日開催されたこの会社の株主総会では、株主の主張が採択され、経営陣は総入れ替えという結果になったのですが、入れ替えられた経営陣は実は昨年の総会で当時の経営陣を舌鋒鋭く批判したその人たちでした。つまり、1年前に物を言った株主が1年後には逆に物を言われてその地位を追われたというわけですから、これこそ現代版の下剋上そのものなのですが、改めて「会社は株主のもの」であることを再確認する好事例として記憶にとどめておきたいところです。

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